Anymaは、壮大な映像演出とメロディックテクノを結びつけることで知られるアーティスト。
LISAはBLACKPINKでの存在感に加えて、ソロでもジャンルをまたいで表現の幅を広げている存在です。
「Bad Angel」がまず面白いのは、天使を“善”で終わらせないところ
「Bad Angel」は、きれいな存在に見えても従順ではないという感覚を前面に出した曲です。
タイトルだけ見ると神秘的ですが、実際の印象はもっと挑発的で、冷たさと強さが同居しています。
LISAのボーカルは甘く広がるというより、意志のある輪郭で前に出てくるタイプ。
そのため「天使」という言葉が持つ柔らかさよりも、近づきがたさ、支配しきれなさ、危うい魅力のほうが強く残ります。
この曲は、かわいらしさや癒やしを見せるための“angel”ではなく、
美しさの中に反抗心を入れた“angel”として聴くと、ぐっと分かりやすくなります。
LISAを迎えたことで、Anymaの世界観がポップに開いた
Anymaの楽曲は、重低音や空間の広さで引っ張るタイプのものが多く、映像世界と一体で体験されることがよくあります。
その中にLISAが入ることで、この曲はクラブミュージックとしてだけでなく、キャラクターの強さで記憶に残るポップソングにもなっています。
特に印象的なのは次の点です。
- トラックは冷たいのに、ボーカルの存在感で無機質になりすぎない
- EDMの高揚感よりも、ムードと姿勢で惹きつける
- “歌い上げる”より、“支配するように置く”歌い方が曲調に合っている
Anyma側の近未来感と、LISA側のスター性がぶつかるのではなく、
ひとつのキャラクター像として自然につながっているのが、このコラボの強さです。
MVでまず注目したいのは、LISAが“人間のままでは終わらない”こと
MVは、ただ美しく撮られた映像ではなく、変身の物語として見るとかなり入りやすいです。
序盤からLISAは、実験体、彫像、アンドロイド、天使のあいだを横断するような姿で描かれます。
見どころは特にこのあたりです。
- ケーブルや装置につながれた状態から始まること
- 白い衣装や無機質な空間で、清潔さと不穏さが同時に出ていること
- 翼を思わせる造形が、救済よりも異形の美しさとして機能していること
ここで描かれているのは、単純な“堕天使”というより、
デジタル世界の中で再構成された存在に近いイメージです。
だからこのMVは、宗教的モチーフを借りながらも、最終的には
テクノロジーと身体、魅力と人工性の混ざり方を見せる映像として残ります。
“悪い天使”というより、“従わない天使”として聴くとしっくりくる
この曲の歌詞やタイトルをそのまま日本語に寄せると、「悪い天使」という少し強い言い方になります。
ただ、実際に曲から受ける印象は、単純な悪役っぽさではありません。
むしろ近いのは、
- 期待される役割に従わない
- きれいに見えても扱いやすくない
- 崇められるより、自分で自分を決める
というニュアンスです。
その意味で「Bad Angel」は、恋愛や誘惑の歌としても読めますが、
同時に自己演出と自己決定の歌としてもかなり強いです。
「守られる存在」ではなく、
自分から世界を選びにいく存在としてのLISAが、この曲の芯を作っています。
音だけで惹かれるポイントは、派手さより“圧”で持っていくところ
この曲は、ドロップの派手さや展開の多さで押すタイプではありません。
尺も比較的コンパクトで、聴き終わったあとに残るのはメロディーそのものより質感の記憶です。
印象に残るポイントを整理すると、
- 低音が広く沈み込むように鳴る
- シンセが硬質で、光沢のある未来感を作る
- 余白を活かしながら、声の存在感を前に置く
- 一度聴いて全部理解する曲というより、雰囲気ごと身体に入ってくる曲
だから「Bad Angel」は、いわゆる大サビ型の中毒性とは少し違います。
一気に泣かせる曲ではなく、冷たい熱で引き込む曲です。
Anymaの代表的な美学を知っていると、MVの見え方がさらに深くなる
Anymaの作品は以前から、
人間、機械、意識、超越といったテーマと相性がいいことで知られています。
その流れを知っていると、このMVでLISAが担っている役割も見えやすくなります。
ここで彼女は単なるフィーチャリング相手ではなく、Anymaのビジュアル世界を体現する中心人物です。
だからこの作品は、LISAの新しい一面を見せる曲であると同時に、
Anymaにとっても自分の世界観をよりポップに伝える入口になっています。
クラブ文脈の濃いアーティストの作品なのに、
ここまで“ひとりのキャラクター”として強く届くのは、その両方がうまく噛み合っているからです。
初めて見るなら、音と映像のどちらが主役かを決めずに触れるのがおすすめ
「Bad Angel」は、曲だけでも成立します。
でも本質的には、音と映像を合わせて完成するタイプの作品です。
- 曲として聴けば、LISAの新しい質感が面白い
- MVとして見れば、Anymaらしい未来神話の世界が濃い
- 両方合わせると、“Bad Angel”という言葉の意味がいちばん伝わる
ただの豪華コラボで終わっていないのが、この曲のいちばんいいところ。
美しい、危険、無機質という3つの印象が同時に立ち上がるので、見終わったあとにタイトルの感触がちゃんと残ります。
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