バレリーナとNYに映る「stupid song」|オリヴィア・ロドリゴMVで読む恋の混乱

オリヴィア・ロドリゴの「stupid song」は、恋に落ちたときの高揚、不安、少しばかばかしくなるほどの混乱を描いた楽曲です。
MVでは、ニューヨークの街を歩くオリヴィアの姿とバレリーナたちの動きが重なり、頭では整理できない恋の感情が視覚的に表現されています。
この記事では、「stupid song」の歌詞の意味、MVの見どころ、アルバム内での位置づけを分かりやすく解説します。

【Olivia Rodrigo:オリヴィア・ロドリゴ】
生年月日:2003年2月20日
出身:アメリカ・カリフォルニア州
特徴:俳優としても活動しながら、シンガーソングライターとして世界的にブレイク
音楽性:ポップ、ロック、バラードを横断し、恋愛や成長の感情を鋭い言葉で描く

目次

「stupid song」が描くのは、恋で理性が追いつかなくなる瞬間

「stupid song」というタイトルは、直訳すると「ばかな歌」「くだらない歌」のように見えます。

ただし、この曲での“stupid”は、相手を見下す言葉というより、恋に夢中になりすぎて、自分でも自分が少しおかしく見える感覚に近いニュアンスです。

恋をしていると、普段なら気にしない一言に振り回されたり、相手の反応ひとつで気分が大きく動いたりします。オリヴィアはその状態を、きれいなラブソングとしてまとめるのではなく、あえて「stupid」と呼ぶことで、恋の高揚と恥ずかしさを同時に表しています。

ここがこの曲の面白いところです。ロマンチックな感情を美化しすぎず、「好きすぎて自分がばかみたいになる」という少し不格好な部分まで、ポップソングの中に残しています。

新アルバムの中では、恋の始まり側にある曲

「stupid song」は、オリヴィア・ロドリゴのアルバム『you seem pretty sad for a girl so in love』に収録された楽曲です。

同作は、恋愛の喜びだけでなく、不安、すれ違い、別れの痛みまでを含んだアルバムとして受け取ると分かりやすい作品です。その中で「stupid song」は、関係が壊れたあとの怒りや悲しみというより、恋が始まったばかりの熱っぽさを映している曲といえます。

前作までのオリヴィアは、失恋や怒りを鋭く言葉にするイメージも強いアーティストでした。けれどこの曲では、怒りよりも、相手に引き寄せられてしまう感情の揺れが前に出ています。

洋楽を長く追っていると、オリヴィアの魅力は「傷ついた感情を叫ぶ強さ」だけではなく、「幸せなはずなのに不安が混じる瞬間」を言葉にできるところにもあると感じます。「stupid song」は、その変化がよく見える1曲です。

MVの見どころは、ニューヨークの街とバレリーナの対比

MVでまず印象に残るのは、ニューヨークの街を歩くオリヴィアと、その周囲で踊るバレリーナたちの組み合わせです。

オリヴィア自身はフーディー姿で街をさまようように登場し、バレリーナたちはしなやかで美しい動きによって、彼女の内側にある感情を外へ広げていきます。

この対比がとても効果的です。

  • ニューヨークの街:現実的でざわついた空間
  • バレリーナ:感情を抽象化したような存在
  • オリヴィアの表情や歩き方:恋に振り回される語り手の不安定さ

きれいに整ったバレエの動きと、恋に混乱する歌詞の温度差が重なることで、MV全体に少し奇妙で忘れにくい余韻が生まれています。

今あらためてMVを見ると、単に「美しいダンスを入れた映像」ではなく、恋をしているときの頭の中の騒がしさを、身体の動きで見せている作品として楽しめます。

Tiler Peckの参加が、MVに本物の説得力を与えている

このMVでは、ニューヨーク・シティ・バレエのプリンシパルダンサーであるTiler Peckが、振付と出演で関わっています。

そのため、バレリーナの場面は単なる雰囲気づくりではなく、動きそのものに説得力があります。ポップミュージックのMVにバレエを取り入れる場合、見た目の美しさだけが先に立つこともありますが、「stupid song」では、ダンサーたちの身体表現が曲の感情ときちんとつながっています。

特に、オリヴィアの周囲をバレリーナたちが取り巻くような構図は、恋の感情に押し流される感覚としても見ることができます。

「好き」という感情は本来、明るく楽しいもののはずです。それなのにこのMVでは、その感情が少し怖く、制御できないものにも見える。その揺れこそが、「stupid song」の核になっています。

歌詞は“恋のばかばかしさ”を否定せずに抱きしめている

「stupid song」の歌詞は、恋に落ちた自分を冷静に分析するというより、感情の渦の中にいる語り手の視点で進んでいきます。

ポイントは、語り手が自分の状態を完全には肯定していないことです。好きでたまらないけれど、同時に「こんなことで揺れるなんて」と自分を少し笑っている。その距離感が、オリヴィアらしい鋭さにつながっています。

英語の“stupid”には、単に「頭が悪い」という意味だけでなく、「ばかげた」「理屈に合わない」「どうしようもない」というニュアンスもあります。この曲では、恋の感情がまさにその方向に傾いています。

だからこそ、曲全体は甘いだけではありません。むしろ、恋の幸福感の中にある不安、焦り、自己嫌悪のようなものまで含めて、「それでも歌にしてしまう」強さがあります。

オリヴィア・ロドリゴらしさは、感情をきれいに片づけないところにある

オリヴィア・ロドリゴの曲は、感情を分かりやすく整理してから提示するというより、整理できないままの揺れをそのまま音楽にするところに魅力があります。

「drivers license」では失恋の痛みを、「good 4 u」では怒りと皮肉を、「vampire」では傷つけられた感情を強く描いてきました。「stupid song」は、それらと比べると恋の始まりに近い曲ですが、やはり感情は単純ではありません。

好き。
でも不安。
嬉しい。
でも自分が自分ではないみたい。

その混ざり方が、オリヴィアのソングライティングらしい部分です。ポップソングとして聴きやすいのに、聴き終わると少し胸の奥にざらつきが残る。そこに、この曲をもう一度再生したくなる理由があります。

オリヴィア・ロドリゴの代表曲や他のMV解説もあわせて読みたい方は、アーティストまとめページもおすすめです。恋愛の痛み、怒り、青春の揺れをどう描いてきたのかを並べて聴くと、「stupid song」の新しさもより見えやすくなります。

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この記事を書いた人

洋楽とミュージックビデオを約30年にわたり楽しんできました。ポップ、R&B、ロック、EDMを中心に、時代ごとのヒット曲やアーティストの代表曲、ミュージックビデオの表現を追いかけています。

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