チャーリー・プース&BTSジョングク「Left And Right」MV解説|左右に揺れる立体音響と失恋の執着をポップに描いた傑作

チャーリー・プース(Charlie Puth)がBTSのジョングク(Jung Kook)をフィーチャーした「Left And Right」は、耳元を左右に駆け巡る革新的な立体音響と、ポップでカラフルな世界観が世界中で大ヒットを記録した名曲です。本記事では、全米チャート22位を記録した本作の歌詞に隠された切ない意味や、ヘッドホン必須のサウンドの仕掛け、コミカルなMVの見どころを詳しく解説します。長年洋楽のトレンドを追ってきた記者の視点を交え、この国境を越えた奇跡のコラボレーションの魅力に迫ります。

項目内容
曲名Left And Right (feat. Jung Kook of BTS)
アーティストCharlie Puth(チャーリー・プース)
リリース日2022年6月24日
収録アルバムCHARLIE
主な実績全米ビルボードHot 100 最高22位、世界100以上の国と地域のiTunesで1位を獲得
目次

タイトルの意味と歌詞の背景――頭の「左と右」から離れない恋の記憶

脳内にこびりつく「君」という名の執着

タイトルの「Left And Right」は、文字通り「左と右」を意味していますが、歌詞の中では「Memories follow me left and right(記憶が僕の左からも右からも追いかけてくる)」というフレーズで使われています。大好きな人と別れたあと、どれだけ忘れようとしても、頭の中のあらゆる方向から楽しかった思い出や相手の面影が語りかけてくるという、失恋の痛手と執着が描かれています。「I can feel you over here / I can feel you over there(ここからも君を感じる、あそこからも君を感じる)」という言葉通り、自分の思考のすべてが元恋人にジャックされてしまった状態を表現しています。

日常会話でも使える「Left and right」のニュアンス

この「left and right」という表現は、日常会話やビジネス、SNSでも「あちこちで」「四方八方で」「次から次へと大量に」という意味の比喩として非常によく使われる定番のスラング・慣用句です。例えば「People are buying it left and right(みんながそれをあちこちで爆買いしている)」「I’ve been losing my things left and right lately(最近、次から次へと物を失くしてばかりいる)」のように、何かが至る所で頻発している状況をコミカルに、または強調して伝えたいときに自然に使える表現です。

ヘッドホン必須!チャーリーの計算が光る「バイノーラル・オーディオ」の聴きどころ

この楽曲の最大のトレードマークは、音響を左右のチャンネルに完全に振り分けた「バイノーラル(立体音響)」のミキシングです。チャーリーが歌う「Left」のパートは左のイヤホンから、「Right」のパートは右のイヤホンから聴こえ、サビでは音が頭の周りをぐるぐると回転するような極上のリスニング体験を味わうことができます。

90年代のステレオ音響の遊び心から、現在の空間オーディオ(Spatial Audio)の普及に至るまで、約30年間にわたり洋楽の音響トレンドの変化を耳にしてきたリスナーにとって、このアプローチは非常にエキサイティングなものでした。かつてビートルズや初期のサイケデリック・ロックが実験的に行っていた極端な左右の音振りを、2020年代の洗練されたTikTokバイラルの文脈へと見事に落とし込んでいるからです。ギミックに溺れることなく、それが「頭から離れない記憶」という歌詞のテーマと完全に一対の表現として機能している点に、サウンドプロデューサーとしてのチャーリー・プースの天才的な計算と凄みを感じます。

ドリュー・キルシュ監督が描く、コミカルでカラフルな失恋セラピー

「ラブ・ドクター」の元を訪れる二人のユーモラスな掛け合い

ミュージックビデオ(MV)を手掛けたのは、テイラー・スウィフトの「You Need To Calm Down」など、ビビッドな色彩感覚とキッチュな世界観で知られる名匠ドリュー・キルシュ(Drew Kirsch)。MVでは、頭から離れない恋の記憶に苦しむチャーリーが、怪しげな「愛の医者(The Love Doctor)」のカウンセリングを受けるストーリーが描かれています。

ジョングクはチャーリーの脳内を象徴するかのように、車のボンネットの上にチョコンと座ったり、真っ白な部屋でチャーリーと背中合わせで歌ったりと、ユーモラスで愛らしい存在感を放っています。失恋という重くなりがちなテーマを、あえてパステルカラーの衣装や、ちょっとマヌケで愛嬌のあるダンス、視覚的な左右の画面分割によって、極上のポップコメディへと昇華しています。二人の間に流れるリラックスした空気感と、どこか少年のような無邪気な笑顔が、映像全体のクオリティを何倍にも引き上げています。

30年の洋楽史から見る、国境を越えたポップアイコンたちの幸福な融合

長く洋楽の変遷を追い続けていると、欧米のメインストリームのアーティストとK-POPのアーティストによるコラボレーションの形が、ここ数年で劇的に進化したことを実感します。かつてのような「話題作りのためのビジネスカップリング」ではなく、互いの音楽性と歌声のリスペクトに基づいた、本当の意味での「対等な融合」がここに完成しています。

チャーリーの持つ軽やかでシャープなハイトーンボイスと、ジョングクの持つ甘くシルキーでありながら抜群のグルーヴ感を持つボーカル。この異なる質感の二つの声が、左右のチャンネルから交互に飛び込んでくる瞬間の快感は、今聴き返しても鳥肌が立つほどに新鮮です。言語や文化の壁を軽々と飛び越え、ただ「優れたメロディと優れた声」だけで世界を躍らせる。2020年代のポップミュージックが到達した、最も幸福で風通しの良い瞬間が、この3分間に美しく結晶化しています。

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当サイトでは、チャーリー・プースのこれまでの輝かしいキャリアや、世界的な大ヒットを記録した数々の名曲、MVのディープな解説をまとめた特設ページをご用意しています。彼の絶対音感を生かした卓越したメロディセンスと、世界を魅了し続けるポップサウンドの軌跡をより深く知りたい方は、ぜひこちらのまとめ記事もあわせてお楽しみください。

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この曲の持つ本当の快感を味わうなら、天気の良い週末の午後、ワイヤレスイヤホンを両耳にしっかりと装着して、散歩や街歩きをしながら聴くのがおすすめです。チャーリーとジョングクの歌声があなたの頭の中を心地よく駆け巡り、いつもの見慣れた景色を、まるでカラフルなMVの世界のように鮮やかに塗り替えてくれるはずです。

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この記事を書いた人

洋楽とミュージックビデオを約30年にわたり楽しんできました。ポップ、R&B、ロック、EDMを中心に、時代ごとのヒット曲やアーティストの代表曲、ミュージックビデオの表現を追いかけています。

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