「FourFiveSeconds」の意味は?リアーナ×カニエ・ウェスト×ポール・マッカートニーMVで描く限界寸前の感情

Rihanna、Kanye West、Paul McCartneyによる「FourFiveSeconds」は、2015年に発表された異色のコラボ曲です。
曲名は、直訳の時間というよりも、あと4〜5秒で感情が爆発しそうな限界寸前の状態を象徴していると受け取れます。
MVでは、白黒の映像、デニムの衣装、アコースティックな演奏だけで、3人の声と表情をまっすぐ見せています。

【Rihanna:リアーナ】
生年月日:1988年2月20日
出身:バルバドス・セントマイケル
特徴:R&B、ポップ、ダンスミュージックを横断しながら、ファッションやカルチャー面でも大きな影響力を持つアーティスト

【Paul McCartney:ポール・マッカートニー】
生年月日:1942年6月18日
出身:イギリス・リヴァプール
特徴:The Beatlesのメンバーとしても知られるシンガーソングライター、ベーシスト

【Kanye West:カニエ・ウェスト】
生年月日:1977年6月8日
出身:アメリカ・ジョージア州アトランタ生まれ、シカゴ育ち
特徴:ラッパー、プロデューサー、ファッション分野でも知られるアーティスト

目次

「FourFiveSeconds」の意味は、理性が切れる直前のカウントダウン

「FourFiveSeconds」というタイトルは、単に「4、5秒」という時間を示すだけではありません。

この曲で描かれているのは、怒り、疲れ、後悔、不安が積み重なり、もう少しで自分を抑えきれなくなりそうな感情です。明るいカウントダウンではなく、心の余裕が残り数秒しかないような切迫感がタイトルに込められています。

歌詞に出てくる「wildin’」は、英語では「荒れる」「羽目を外す」「取り乱す」といったニュアンスで使われることがあります。つまりこの曲は、強く見せるための曲というより、強がりが崩れる直前の人間らしさを歌っている楽曲です。

Rihannaの声が特に印象的なのは、きれいに整えすぎていないところです。少しかすれたような響きが、歌詞の「もう限界に近い」という感情と重なっています。

2015年に生まれた、派手さを削った異色コラボ

「FourFiveSeconds」は、Rihanna、Kanye West、Paul McCartneyという、世代もジャンルも大きく異なる3人によるコラボレーションです。

RihannaはR&B/ポップのスター、Kanye Westはヒップホップとプロデュースで時代を動かしてきた存在、Paul McCartneyはThe Beatlesから続くポップミュージック史の象徴的なアーティストです。その3人が、クラブ向けの大きなビートではなく、アコースティックギターを中心にしたシンプルな曲で並んだこと自体が、この曲の面白さです。

この曲はBillboard Hot 100で最高4位を記録し、Rihannaの代表的なコラボ曲のひとつとしても知られています。さらに、第57回グラミー賞では3人によるパフォーマンスも披露されました。

長く洋楽を聴いてきた耳には、この曲の強さは「豪華な3人が集まったこと」だけではなく、むしろその豪華さをあえて削ぎ落としている点にあります。大物同士のコラボなのに、音の作りは驚くほど素朴です。

アコースティックギターが、3人の声をむき出しにする

この曲のサウンドは、Paul McCartneyのアコースティックギターを軸に、オルガンやベースが控えめに支える構成です。

Rihannaのボーカルは、メロディを大きく引っ張る役割を担っています。一方でKanye Westは、ラップではなく歌うような形で感情を吐き出します。そこにPaul McCartneyのギターが加わることで、ポップ、ヒップホップ、ロックの境界がかなり自然に溶けています。

派手なドラムやシンセで盛り上げるのではなく、声の揺れや呼吸の近さで聴かせる曲です。そのため、歌の上手さだけでなく、感情のざらつきがそのまま伝わってきます。

今聴き返すと、2010年代半ばのポップシーンの中でもかなり珍しい立ち位置の曲です。Rihannaのヒット曲というとダンス寄りの印象を持つ人も多いですが、この曲では彼女の声そのものの説得力が前に出ています。

白黒デニムのMVが、曲の生々しさを強めている

「FourFiveSeconds」のMVは、Inez van LamsweerdeとVinoodh Matadinによる監督作品です。

映像は非常にミニマルで、白黒の画面、白い背景、デニムを着た3人のパフォーマンスが中心になっています。大がかりなセットやストーリー演出ではなく、表情、視線、体の動きで曲の感情を伝える作りです。

特に印象的なのは、デニムの使い方です。Rihanna、Kanye West、Paul McCartneyという異なる世代のアーティストが、同じようにデニムをまとって並ぶことで、3人の距離感が一気に近く見えます。

白黒映像にすることで、色の派手さではなく、顔の陰影や服の質感、声の温度に意識が向かいます。MVを見返すたびに、この曲は「豪華なコラボ」ではなく、3人が同じ部屋で感情を鳴らしているような近さが魅力なのだと感じます。

歌詞で描かれるのは、怒りよりも「疲れ切った正直さ」

この曲は、怒りを爆発させる歌というより、怒りそうになっている自分を自覚している歌です。

語り手は、強く堂々としているというより、疲れ、苛立ち、孤独を抱えながら、それでも何とか踏みとどまろうとしています。そこが、この曲を単なる反抗の歌にしていない大きな理由です。

Rihannaのパートには、心の限界を静かに伝えるような切実さがあります。Kanye Westのパートには、感情を整理しきれないまま吐き出すような不安定さがあります。Paul McCartneyのギターは、その2人の感情を大きく飾らず、淡々と支えています。

このバランスがあるから、「FourFiveSeconds」は大きなサビで一気に解放する曲でありながら、どこか苦く、後味が残ります。

Rihannaのキャリアで見ると、声の存在感が際立つ一曲

Rihannaの代表曲には、「Umbrella」「We Found Love」「Diamonds」など、強いフックや大きなサウンドで記憶に残る曲が多くあります。

その中で「FourFiveSeconds」は、かなり異質です。踊らせる曲でも、きらびやかに聴かせるバラードでもなく、アコースティックな質感の中で、声の強さと感情の揺れを見せる曲だからです。

この曲を聴くと、Rihannaの魅力はクールな存在感だけではないと分かります。少し荒れた感情をそのまま声に乗せても、ポップソングとして成立させられるところに、彼女のアーティストとしての幅があります。

洋楽を長く聴いていると、豪華なコラボ曲ほど数年後に「名前の強さ」だけが残ることもあります。でもこの曲は、アーティスト名よりも先に、アコースティックギターとRihannaの声の切迫感が思い出されます。

もう一度見返したくなるのは、飾らないからこそ強いMVだから

「FourFiveSeconds」のMVは、派手な映像演出で驚かせるタイプではありません。

けれど、白黒、デニム、近い距離のカメラ、3人の表情という限られた要素だけで、曲のテーマをきちんと伝えています。怒り、疲れ、後悔、そして少しだけ残る希望。その全部が、余白のある映像の中に浮かび上がります。

初めて聴く人には、Rihannaの意外な一面が見える曲として。
すでに知っている人には、3人の声がぶつかりすぎず、静かに並んでいる面白さを再確認できる曲として。

「FourFiveSeconds」は、豪華な名前を並べたコラボ曲でありながら、最後に残るのはとても人間的な弱さです。だからこそ、今見返しても、短い時間で感情の奥に届いてきます。

Rihannaのほかの代表曲やMVもあわせて聴くと、彼女がどれだけ幅広い表現を持つアーティストなのかがより分かります。

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この記事を書いた人

洋楽とミュージックビデオを約30年にわたり楽しんできました。ポップ、R&B、ロック、EDMを中心に、時代ごとのヒット曲やアーティストの代表曲、ミュージックビデオの表現を追いかけています。

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