コロンビア出身のポップクイーン、Shakira(シャキーラ)と、ニューヨーク・ブロンクスが誇るラップアイコン、Cardi B(カーディ・B)による豪華なコラボレーション曲「Puntería(プンテリア)」。
アルバム『Las Mujeres Ya No Lloran』の冒頭を飾る本作は、ラテンポップの軽快なエッセンスとモダンなダンスポップが見事に融合した一曲です。長年洋楽を聴き続けてきたリスナーにとっても、グラミー常連の二人が交わることで生まれる圧倒的な「華」と、計算し尽くされたポップソングとしての完成度には、思わず耳を奪われる新鮮な熱量があります。
タイトル「Puntería」が意味する狙い撃ちの恋
スペイン語の「Puntería」は、日本語で「狙い、照準、あるいは(的を射る)コントロールの正確さ」を意味する言葉です。
歌詞のなかでは、相手の魅力によって自分の心が正確に「狙い撃ち」されてしまう様子や、抗えない恋の引力が描かれています。単に盲目的な恋を歌うのではなく、どこかゲームを楽しむような余裕と、大人のしなやかな強さが表現されている点が印象的です。
英語とスペイン語が心地よく交差するリリックのなかで、カーディ・Bの切れ味鋭いラップパートが加わることにより、楽曲全体のメッセージ性にモダンなタフさが吹き込まれています。
ギリシャ神話を現代風に再解釈したMVの圧倒的な映像美
本作のミュージックビデオ(MV)の舞台は、女性たちが統治する架空の惑星、あるいは現代的にリビルドされたギリシャ神話の世界を思わせる空間です。パステルピンクや柔らかなブルーを基調とした色彩設計が、画面全体に幻想的な美しさを与えています。
シャキーラは弓矢を手に取る女神のような姿で登場し、見事なコントロールでケンタウロス(半人半馬の姿をした男性キャラクター)を射抜きます。このケンタウロス役を人気俳優のルシアン・ラヴィスカウント(ドラマ『エミリー、パリへ行く』などに出現)が演じていることも、ファンの間で大きな話題を呼びました。
映像が進むにつれて展開される、大理石のような美しいセットでのダンスシーンや、カーディ・Bがシャキーラを膝に抱きかかえるようにしてラップする堂々とした佇まいは、まさに視覚的なハイライト。女性たちの連帯と圧倒的なエンパワーメントが、神話的なモチーフを通じてエレガントに、かつ大胆に視覚化されています。
長年洋楽を追ってきた耳に響く、洗練されたサウンドの心地よさ
洋楽を20年、30年と聴き続けているリスナーの耳には、この曲のベースにあるフレンチハウスやディスコポップの軽やかさが非常に心地よく響くはずです。
ラテンポップと言えば情熱的でアグレッシブなビートを連想しがちですが、この「Puntería」で鳴っているのは、どこかヴェイパーウェイヴや洗練されたシンセポップのニュアンスも感じさせる、風通しの良いクリアなプロダクション。派手な音で圧倒するのではなく、引き算の美学を感じさせる上品なディスコビートだからこそ、シャキーラ特有のハスキーで伸びやかなボーカルと、カーディ・Bの重心の低いラップのコントラストが、より鮮明に浮き上がって聞こえます。
この絶妙なポップさの塩梅に、シーンの最前線を走り続けるアーティストたちの「今の耳」と、確かなプロデュース力を感じずにはいられません。
今夜、この洗練されたアンセムをもう一度
「Puntería」は、ポップカルチャーの最先端を行く2人のスターが、その確かな実力と大人の余裕を持ち寄って作り上げた極上のポップスです。
洗練されたビートに体を委ねながら、神話的な映像美の余韻に浸る。そんな贅沢な時間を過ごしたい夜に、ぜひこの特別なコラボレーションをもう一度再生してみてください。聴くたびに、現代のポップシーンが持つ華やかさと、彼女たちの揺るぎない自信が、心地よいエネルギーとなって伝わってくるはずです。

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