AIで映る70年代の姿「In The Stars」|ザ・ローリング・ストーンズMV解説

The Rolling Stones(ザ・ローリング・ストーンズ)の「In The Stars」は、最新アルバム『Foreign Tongues』からのリード・シングルとして公開された楽曲です。
MVでは、ディープフェイク技術によって70年代の若きストーンズ像を描き、バンドの過去と現在、そしてAI時代の映像表現を重ねています。
長く洋楽を聴いてきた耳には、ロックの古典的な熱量と、今の映像技術の違和感が同時に立ち上がる作品として響きます。

【The Rolling Stones:ザ・ローリング・ストーンズ】
結成:1962年
出身:イギリス・ロンドン
主なメンバー:ミック・ジャガー、キース・リチャーズ、ロニー・ウッド
特徴:ブルースやR&Bを土台に、荒々しく粘りのあるロックサウンドで世界的に支持されてきたバンド
音楽性:ロックンロール、ブルースロック、R&Bを軸にした骨太でグルーヴィーなサウンド

目次

「In The Stars」は最新アルバム『Foreign Tongues』への入口

「In The Stars」は、2026年発売予定のアルバム『Foreign Tongues』につながる重要な1曲です。

アルバムは『Hackney Diamonds』に続く新作として発表され、プロデューサーには前作にも関わったAndrew Wattが参加しています。ストーンズらしいブルースやR&Bの根を残しながら、現代的な制作環境の中で鳴らされている点が、この曲の面白さです。

新曲としての驚きだけでなく、60年以上続くバンドが「今、どう見られるか」「今、どう鳴るか」を示す入口にもなっています。

タイトル「In The Stars」が示す運命感

「In The Stars」は、直訳すると「星の中に」という意味ですが、英語表現としては“星に書かれている運命”のようなニュアンスでも受け取れます。

この曲では、未来を完全に自分で選び取るというより、どこか最初から導かれているような感覚が漂います。タイトルにある“stars”は、夜空の星であると同時に、ロックスターとしての彼ら自身を重ねて読むこともできます。

特にMVでは、若い頃のストーンズの姿が現代の技術で再現されるため、「過去のスターが、今も星のように見えている」という二重の意味が生まれています。

70年代のストーンズをAIで描くMV

このMVで最も目を引くのは、The Rolling Stonesのメンバーが若い姿で登場する映像表現です。

制作にはDeep Voodooによるディープフェイク技術が使われ、70年代のミック・ジャガー、キース・リチャーズ、ロニー・ウッドを思わせる姿が描かれています。監督はFrançois Rousseletで、女優Odessa A’zionも出演しています。

映像は、若いストーンズがさまざまな時代やサブカルチャーのミュージシャン、ダンサーたちと共演しているような構成です。単なる懐古映像ではなく、ロックの記憶をAIで再編集したMVとして見ると、かなり現代的な作品です。

一方で、あまりにリアルに若返った姿には、少し不思議な距離感もあります。そこがこのMVの賛否を生みやすい部分であり、同時に今の時代らしい見どころでもあります。

サウンドは新しさより「ストーンズらしさ」で押し切る

映像面ではAIやディープフェイクが大きな話題になりますが、曲そのものはかなりストーンズらしいロックの芯を持っています。

きれいに整えすぎたポップソングではなく、ギターのざらつき、ボーカルの押し出し、リズムの粘りで前に進んでいくタイプの曲です。派手な若返り映像とは対照的に、音の中心には長年変わらないバンドのグルーヴがあります。

長く洋楽を聴いていると、こういう曲は「新しいことをしているか」よりも、「そのバンドにしか出せない揺れがあるか」で残り方が変わってきます。「In The Stars」は、まさにその揺れを今の技術とぶつけた曲です。

MVの違和感が、逆に曲のテーマを強くしている

このMVは、ただ「若い頃のストーンズを再現した映像」として見るだけでは少し足りません。

本物の過去ではなく、AIで作られた過去の姿が、現在の新曲を演奏している。その構図自体が、ロックバンドの歴史、老い、記憶、スター性を一度に映しています。

若い姿のミック・ジャガーたちは、懐かしさを誘う一方で、どこか作り物にも見えます。その少しざらついた違和感が、「In The Stars」というタイトルの運命感と重なります。

過去は消えないけれど、今の技術によって別の形で再生される。そんな感覚が、このMVにはあります。

初めて聴く人にも、長年のファンにも見え方が変わる曲

「In The Stars」は、初めてThe Rolling Stonesを聴く人には、現在進行形のロックバンドとしての入口になります。

一方で、長年のファンにとっては、70年代のストーンズ像をAIで見せることへの複雑な感情も含めて、語りたくなるMVです。懐かしさだけではなく、「今この表現をやる意味は何か」と考えさせるところがあります。

この曲は、クラシックロックの熱量と、AI時代の映像表現がぶつかる場所にあります。きれいにまとまりすぎないからこそ、見終わったあとにもう一度、音だけでも確かめたくなる作品です。

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この記事を書いた人

洋楽とミュージックビデオを約30年にわたり楽しんできました。ポップ、R&B、ロック、EDMを中心に、時代ごとのヒット曲やアーティストの代表曲、ミュージックビデオの表現を追いかけています。

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