元ネタは「Kiss Me」|リサ「MOONLIT FLOOR」パフォーマンスビデオ解説

LISA「MOONLIT FLOOR」は、Sixpence None the Richerの名曲「Kiss Me」を元ネタにした、甘くロマンチックなポップソングです。
この記事では、元ネタとの関係、歌詞で描かれる恋の高揚感、そして公式パフォーマンスビデオの見どころを整理します。
派手に攻めるLISAとは少し違う、柔らかく光る魅力を味わえる一曲です。

目次

元ネタはSixpence None the Richer「Kiss Me」

「MOONLIT FLOOR」を聴いて、どこか懐かしいメロディに気づいた人も多いはずです。

この曲は、Sixpence None the Richerの1990年代の名曲「Kiss Me」をインターポレーションしています。インターポレーションとは、原曲のメロディやフレーズの一部を引用し、新しい曲の中で再構成する手法のことです。

つまり「MOONLIT FLOOR」は、完全なカバーではなく、「Kiss Me」のロマンチックな記憶をLISAのソロ曲として現代的に作り替えた楽曲と見ると分かりやすいです。

原曲が持っていた淡い恋のきらめきは残しつつ、LISA版では「Paris twilight」や「moonlit floor」といった言葉によって、より都会的で映画的なムードに寄せています。

「MOONLIT FLOOR」の意味は、月明かりの中で恋に落ちる場所

タイトルの「MOONLIT FLOOR」は、直訳すると「月明かりに照らされた床」や「月明かりのフロア」という意味です。

ただし、この曲では単なる場所を表す言葉というより、恋に引き寄せられていく幻想的な空間として響きます。

歌詞では、パリの夕暮れやフランス語の響き、相手の魅力に心を奪われる感覚が描かれます。どこか現実離れした甘さがありながら、恋に落ちる瞬間の浮遊感はとても分かりやすい。長く洋楽を聴いてきた耳には、この曲の面白さは「懐かしいメロディを借りていること」だけではなく、その懐かしさをLISAらしい軽やかな色気に変えている点にあります。

歌詞で描かれるのは、フランス映画のような恋の高揚感

「MOONLIT FLOOR」の歌詞は、恋愛の細かなストーリーを説明するというより、恋に落ちた瞬間の温度を切り取るタイプの曲です。

特に印象的なのは、相手の見た目や雰囲気、アクセントに惹かれていく描写です。英語表現としては「trippin’」のニュアンスもポイントで、これは単に「つまずく」という意味ではなく、冷静でいられないほど心が揺れている感覚として受け取れます。

この曲の語り手は、恋を理屈で整理しているのではなく、相手の存在そのものに少し酔っているように聞こえます。

だからこそ、原曲「Kiss Me」のピュアな甘さに、LISAらしい大人っぽい余裕が重なっているのが魅力です。かわいさだけで終わらず、少し洗練されたロマンチックさが残ります。

パフォーマンスビデオは、派手な物語よりもLISAの表情で見せる

公式映像は、ストーリー性の強いMVというより、LISAのパフォーマンスをじっくり見せる構成です。

監督はRaja Virdi。映像はロマンチックな劇場的空間を軸にしており、LISAの歌唱、表情、動きの流れを近い距離で見せていきます。

見どころは、次の3つです。

  • ライブバンドの存在によって、曲の柔らかさがより生っぽく伝わる
  • ロフト風の空間から劇場ステージへ移ることで、恋の高揚感が少しずつ広がる
  • 白や淡いピンク系の衣装が、曲の甘さと月明かりのイメージに重なる

LISAといえば、強いダンス、鋭いラップ、ファッション性の高い映像が注目されやすいアーティストです。けれど、この映像では「見せつける強さ」よりも、歌のムードに身を預けるような柔らかさが前に出ています。そこが、他のソロ曲とは違う印象を残します。

「Rockstar」「New Woman」と並べると見える、ソロ期LISAの幅

2024年のLISAは、「Rockstar」や「New Woman」など、ソロアーティストとしての存在感を強く打ち出す楽曲を続けて発表しました。

その流れの中で「MOONLIT FLOOR」は、少し役割が違います。

「Rockstar」が攻めの自己提示だとすれば、「MOONLIT FLOOR」は恋の甘さや声の柔らかさを見せる曲です。「New Woman」が新しい自分を示す曲なら、「MOONLIT FLOOR」はクラシックなポップの記憶を借りて、LISAの別の表情を引き出している曲とも言えます。

アルバム『Alter Ego』の文脈で見ると、この曲はフランス的なムードやロマンチックな人物像とも結びつきます。ソロ期のLISAが、ラップやダンスだけでなく、声の質感や世界観の作り方でも幅を広げていることが分かる一曲です。

懐かしいのに新しく聴こえる理由

「MOONLIT FLOOR」が印象に残る理由は、元ネタの強さだけではありません。

「Kiss Me」を知っているリスナーには、メロディの時点で懐かしさが立ち上がります。一方で、LISAの声、ビート、映像の質感によって、曲全体は2020年代のポップとして軽やかに聴けるようになっています。

初めて聴く人には甘い恋愛ソングとして届き、原曲を知っている人には「このメロディをこう変えるのか」という楽しさがある。その二重の入口が、この曲の強みです。

夜に少し気分を変えたいとき、強いビートよりも柔らかい余韻に浸りたいときに合う曲です。LISAの華やかさを知っている人ほど、この曲で見せるやさしい光に少し驚くかもしれません。

LISAの代表曲・MVをもっと見る

「MOONLIT FLOOR」で見せるロマンチックな表情だけでなく、LISAにはダンス、ラップ、ファッション性が際立つMVが数多くあります。BLACKPINKでの存在感からソロアーティストとしての進化まで、LISAの魅力をまとめて知りたい方は、こちらの特集ページもあわせてご覧ください。

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この記事を書いた人

洋楽とミュージックビデオを約30年にわたり楽しんできました。ポップ、R&B、ロック、EDMを中心に、時代ごとのヒット曲やアーティストの代表曲、ミュージックビデオの表現を追いかけています。

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