最近、ChatGPT、Copilot、Gemini、Claudeなどの生成AIを使って「CSVの内容を分析してもらう」「Excelの表を要約させる」といったケースが増えました。
でも、実際にやってみるとAIがうまく読み取ってくれないこと、ありますよね。 たとえば:
- 列の意味を誤解して変な分析をする
- 数字と文字を混同して計算してしまう
- ファイル全体を読んでくれず途中で切れてしまう
この記事では、そんなトラブルを防ぐために、AIにExcelやCSVを読ませるときの「構造の整え方」を紹介します。 実務で作るファイルの整理にもそのまま使える内容です。
もくじ
1. なぜAIはExcelを誤読するのか?
AIは「テキストベース」でデータを解釈します。つまり、セルの見た目(罫線や色)はまったく見ていません。 私たちが視覚的に区別している情報(空白行・結合セル・色つけ)は、AIにとってはただのノイズなんです。
たとえばこんな表:
売上データ.xlsx
| 年月 | 担当者 | 売上金額 | 備考 |
|------|--------|----------|------|
| 2024/04 | 山田 | 120000 | |
| 2024/05 | 田中 | 95000 | キャンペーン対象 |
このままExcelで見れば完璧ですが、AIにCSVで渡すときに列の順番やヘッダーが崩れると、意味が通じなくなります。 AIが「金額」を「担当者」と間違って解釈することもあるんです。
2. AIが理解しやすいCSVの作り方
① ヘッダー行を必ず1行にする
人間が見やすくするために「年度」や「部署名」を2行で書くことがありますが、AIはこれを複数列として認識してしまいます。 ヘッダーは1行だけで、シンプルな英数字名にしましょう。
✅ 良い例:
year_month,person,sales,remark
❌ 悪い例:
2024年度 売上表
年月,担当者,売上金額,備考
② 空白行・結合セルを使わない
空白行は「ここで表が終わった」とAIが勘違いします。 また、結合セルは位置ずれを起こすため、AIが正しい列を追えなくなります。
③ 数値と文字を混在させない
「100万円」「95,000円」など単位つきの数値はAIが計算できません。 単位は別列に分けるか、ヘッダーで指定するのがおすすめ。
✅ 良い例:
amount,unit
120000,JPY
❌ 悪い例:
金額
120,000円
④ 不要な装飾列を削除する
見出しや罫線代わりに入っている「—-」「合計」「小計」などの行は削除しておくと精度が上がります。 AIは合計行も「データの一部」として扱ってしまいます。
3. ExcelファイルをAIに渡すときの注意点
① 複数シートは1つにまとめる
AIは基本的に「1枚のシート」しか読み取れません。 シートごとにテーマが分かれている場合は、それぞれ別のCSVとして保存して読み込ませましょう。
② 列の説明を別途テキストで添える
AIにCSVだけを渡すと、列の意味が分かりません。 短いメモを添えるだけで理解精度がぐっと上がります。
このCSVは、営業部の月次売上データです。
- year_month: 年月(YYYY/MM形式)
- person: 担当者名
- sales: 売上金額(JPY)
- remark: 備考
③ ファイルサイズに注意
ChatGPTや他のAIは、一度に読み取れるトークン量(文字数)に制限があります。 データが多い場合は、集計やサンプル抽出をしてから渡すのが現実的です。
4. JSON形式という選択肢もある
AIにとって、最も構造を理解しやすいのは実はJSON形式です。 列名と値がペアで明示されているため、AIは「どのデータがどの属性か」を即座に把握できます。
[
{
"year_month": "2024-04",
"person": "山田",
"sales": 120000,
"remark": ""
},
{
"year_month": "2024-05",
"person": "田中",
"sales": 95000,
"remark": "キャンペーン対象"
}
]
もしAPI連携やスクリプトで処理するなら、CSVよりもJSON形式に変換して渡す方が精度が高いケースも多いです。
5. AIに正しく読ませるためのひと工夫
- 列名は英語+スネークケース(例:
total_amount) - 日付は統一フォーマット(
YYYY-MM-DDなど) - 不要なカンマ・空白・改行は削除
- 分析したい列だけを残してファイルを軽くする
このあたりを意識するだけで、AIの出力結果は明確に変わります。 人間が“ぱっと見で分かる表”よりも、AIが“ロジックで読める表”を作るイメージです。
まとめ:AIにやさしいファイルは、人にもやさしい
AIが正しくデータを理解できるということは、つまり誰が見ても構造が分かるデータになっているということ。 整理されたCSVやExcelは、人間のレビューや集計作業でもミスが減ります。
「とりあえず表を作る」から一歩進んで、 “AIに読ませやすい=機械にも人にも優しい” という視点で整えると、今後の業務効率が確実に上がります。 次にデータを整理するときは、ぜひ意識してみてください。
エステラ 