Harry Stylesの「Watermelon Sugar」は、アルバム『Fine Line』期を象徴する、甘く開放的なポップソングです。
この記事では、曲名の意味、歌詞に漂う夏と官能性、ビーチを舞台にしたMVの見どころ、そして代表曲として長く残った理由を解説します。
軽やかな曲に聞こえますが、今あらためて聴くと、ハリー・スタイルズのソロアーティストとしての魅力がかなり濃く出ている一曲です。
【Harry Styles:ハリー・スタイルズ】
生年月日:1994年2月1日
出身:イングランド・ウスターシャー州レディッチ
特徴:One Direction出身のシンガー/ソングライター/俳優
「Watermelon Sugar」の意味は、夏の甘さと触れ合う感覚
「Watermelon Sugar」を直訳すると「すいかの砂糖」や「すいかの甘さ」のような意味になります。
ただ、この曲で重要なのは、言葉そのものの直訳よりも、夏・果実・肌ざわり・恋の高揚感をまとめて象徴するフレーズとして響いていることです。
歌詞では、ストロベリーや夏の夕暮れ、甘く温かい感覚が重ねられていきます。何かを細かく説明するというより、味覚、温度、光、身体感覚を並べることで、恋の陶酔感を作っている曲です。
「watermelon sugar high」という表現も、単なる甘さではなく、気分がふわっと上がるような感覚として受け取れます。直接的に言い切らないからこそ、夏の恋、官能性、幸福感が同時に立ち上がるのがこの曲の面白いところです。
代表曲として残った理由は、軽さの奥にある完成度
「Watermelon Sugar」は、ハリー・スタイルズの2作目のアルバム『Fine Line』に収録された楽曲です。
サウンドは、ギターを軸にしたポップロックに、ファンク寄りの跳ねたグルーヴを混ぜた作り。明るく聴きやすい一方で、リズムの軽さ、コーラスの反復、息を抜いたボーカルの距離感がかなり緻密です。
この曲が強いのは、難しい言葉で感情を説明しないところです。
- すぐ覚えられるフック
- 夏を連想させる果実のイメージ
- レトロで温かいバンドサウンド
- 力みすぎないボーカル
- 何度も口ずさみたくなるリズム
これらが重なって、聴いた瞬間に「明るい曲」として入ってくるのに、何度も聴くと細部の作り込みが見えてきます。
洋楽を聴き続けてきた人には、この曲の良さは派手な展開よりも、リラックスしたままチャートを制する強さにあるように感じられます。ポップソングとして軽やかなのに、中心にあるグルーヴはかなり太いです。
MVは「触れること」へのラブレターとして見ると深い
「Watermelon Sugar」のMVは、ビーチを舞台に、ハリー・スタイルズと人々が果物を食べたり、笑い合ったり、身体を寄せ合ったりする映像で構成されています。
MVの冒頭には、「触れること」に捧げるというメッセージが置かれています。ここを踏まえると、このMVは単なる夏のビーチ映像ではなく、人と人が近くにいること、肌で季節を感じること、誰かと同じ時間を共有することへの賛歌として見えてきます。
映像面では、以下の要素が印象的です。
- すいかやベリーなど、果実の色を生かした画面作り
- 70年代風のファッションやサングラス
- フィルムのような柔らかい質感
- 海辺の光と肌の近さ
- 食べる、笑う、触れるというシンプルな動作
MV全体に漂うのは、作り込まれたゴージャスさではなく、少しレトロで自由な夏のムードです。今見返すと、当時の空気も重なって、ただ明るいだけではない“人と触れ合うことの尊さ”まで感じられる映像になっています。
歌詞で面白いのは、説明しないまま感覚を積み上げるところ
この曲の歌詞は、物語を順番に語るタイプではありません。
むしろ、短いイメージを何度も重ねて、聴く人の中に夏の恋の感覚を作っていくタイプです。ストロベリー、夏の夕暮れ、温かさ、甘さといった言葉が、具体的な説明なしに並んでいきます。
ここで効いているのが、語り手の距離感です。
「あなたを愛している」と真正面から言い切るのではなく、味や温度や気分で恋を表現している。だからこそ、歌詞は軽やかなのに、どこか身体的で、少し危うい甘さもあります。
英語表現として見ると、「high」は気分が高揚している状態を表す言葉です。「Watermelon Sugar High」という繰り返しは、甘い味そのものというより、恋や触れ合いによって気分が上がっていく感覚を表しているように受け取れます。
グラミーとチャート実績が示した、ソロアーティストとしての強さ
「Watermelon Sugar」は、ハリー・スタイルズにとって大きな転機となった曲でもあります。
この曲はBillboard Hot 100で自身初の1位を獲得し、2021年のグラミー賞ではBest Pop Solo Performanceを受賞しました。One Direction出身のスターという文脈を超えて、ソロアーティストとしての存在感を強く印象づけた楽曲です。
重要なのは、この曲が“分かりやすいヒット曲”でありながら、ハリーらしい美意識を失っていないことです。
ファッション、映像、サウンド、歌詞の余白。そのすべてが、単なる夏ソングではなく、ハリー・スタイルズというアーティストのキャラクターと結びついています。
今あらためて聴くと、ハリーの“陽の部分”がよく分かる
ハリー・スタイルズの楽曲には、内省的なものやドラマチックなものもありますが、「Watermelon Sugar」はその中でもかなり“陽”のエネルギーが強い曲です。
ただし、その明るさは単純なポジティブさではありません。レトロな質感、少し官能的な歌詞、ゆるく踊れるグルーヴが重なって、大人の余裕を持ったポップソングになっています。
初めて聴く人には、夏にぴったりの明るいヒット曲として届くはずです。一方で、ハリーのソロ作品を追っている人には、『Fine Line』期の美学が凝縮された一曲として響きます。
MVの色彩、果実の甘さ、海辺の光、そして「触れること」へのまなざし。これらが合わさることで、「Watermelon Sugar」はただの季節ソングではなく、聴くたびに夏の記憶を呼び起こすような代表曲になっています。
ハリー・スタイルズの他の代表曲やMVもあわせて知りたい方は、こちらのまとめページもおすすめです。


コメント