坂口健太郎出演の「DREAM」|リサMVで描く愛と喪失の記憶

LISA「DREAM」は、ソロ・デビューアルバム『Alter Ego』に収録されたバラードで、坂口健太郎が出演するショートフィルムMVとしても注目された楽曲です。
この記事では、MVで描かれる愛と喪失、曲名「DREAM」の意味、歌詞ににじむ切なさを整理します。
パフォーマンスの強さで語られがちなLISAだからこそ、この曲で見せる静かな痛みが深く残ります。

目次

坂口健太郎出演で広がる「DREAM」の物語

「DREAM」のMVでまず大きな見どころになるのが、日本の俳優・坂口健太郎の出演です。

このMVは、ダンスや派手なセットで押し切るタイプではなく、かつて愛した人との記憶をたどるショートフィルムとして構成されています。坂口健太郎は、LISAが思い返す恋人のような存在として登場し、幸福だった時間と、もう戻れない現在との距離を映像の中で強めています。

特に印象的なのは、MV全体に流れる「美しい記憶ほど痛い」という感覚です。恋愛の甘さだけでなく、喪失した後に残る空白まで描くことで、「DREAM」は単なるラブソングではなく、記憶の中に閉じ込められた恋の物語として響きます。

「DREAM」が意味するのは、叶わない再会への願い

曲名の「DREAM」は、直訳すれば「夢」です。ただ、この曲で描かれる夢は、明るい未来への希望というより、もう戻れない相手を夢の中でだけ思い出す感覚に近いものです。

歌詞では、過去の恋、すれ違い、まだ残っている未練のような感情が語られます。現実では終わってしまった関係でも、夢の中ならもう一度会える。けれど目が覚めれば、その願いは現実ではないと分かってしまう。

この二重の切なさが、「DREAM」というタイトルの核です。

夢を見ることは救いでもあり、同時に傷を思い出す行為でもあります。長く洋楽を聴いてきた耳には、この曲の良さは大きなサビの爆発よりも、声の奥に残る小さな諦めにあるように感じられます。

『Alter Ego』の中で際立つ静かなバラード

「DREAM」は、LISAのソロ・デビューアルバム『Alter Ego』に収録された楽曲です。

『Alter Ego』では、LISAの強さ、ファッション性、ダンス、ラップ、ポップスターとしての華やかさが多面的に表現されています。その中で「DREAM」は、アルバムの中でも特に静かで、内側に沈んでいくタイプの曲です。

サウンドは、派手なビートで前に出るというより、柔らかい鍵盤、淡いシンセ、抑えたボーカルの余白で聴かせます。LISAの声も、力強く見せるというより、感情をこぼさないように歌っているような質感です。

だからこそ、普段のLISAを「ダンスの人」「ラップの人」として見ている人ほど、この曲で見える表現の幅に気づきやすいはずです。

MVの見どころは、幸福な記憶と喪失の切り替わり

「DREAM」のMVは、幸福な時間をそのまま美談にせず、現在の痛みと重ねて見せるところに強さがあります。

坂口健太郎との場面では、恋人同士の親密さや穏やかな空気が描かれる一方で、その記憶がすでに過去のものとして見えてくる構成になっています。明るく見える場面にも、どこか後戻りできない寂しさがにじんでいます。

このMVで印象に残るのは、激しい演出ではなく、表情や間の使い方です。

  • ふたりの距離感
  • 記憶の中のやわらかい光
  • 幸福な瞬間のあとに残る静けさ
  • LISAの表情にある喪失感

こうした細部が、曲のテーマと自然につながっています。MVを見返すたびに、恋が終わったことそのものより、「幸せだった時間を忘れられないこと」の方がつらいのだと感じさせます。

歌詞に出てくる具体的な記憶が、切なさを強くする

「DREAM」の歌詞は、抽象的な失恋ソングとしても聴けますが、ところどころに具体的な記憶の断片が入ることで、より個人的な痛みを持った曲に聞こえます。

特に、過去の時期や場所を思わせる表現が出てくることで、聴き手は「これはただの別れの歌ではなく、忘れようとしても消えない特定の記憶の歌なのだ」と受け取れます。

ただし、この曲を現実の誰かと安易に結びつけて断定する必要はありません。大切なのは、歌詞が描いている感情です。

終わった恋を思い出すとき、人は相手そのものだけでなく、そのときの街、夜、空気、服装、声の温度まで一緒に思い出してしまうことがあります。「DREAM」は、その逃げ場のない記憶のリアルさを、派手に叫ばずに描いている曲です。

LISAのソロ表現として見ると、弱さを見せる強さがある

LISAは、BLACKPINKでもソロでも、圧倒的なパフォーマンス力とスタイルで注目されてきたアーティストです。だからこそ「DREAM」のように、動きではなく表情と声の余白で見せる作品は、ソロ表現の中でも重要な意味を持っています。

この曲では、強く見せるLISAではなく、傷ついていることを隠しきれないLISAが前に出ています。そこに、ポップスターとしての別の説得力があります。

音数を絞ったバラードだから、声の揺れや余韻がよく見える。ショートフィルム型のMVだから、歌だけでは見えにくい感情の輪郭が映像で補われる。坂口健太郎の静かな存在感も、その余韻を強めています。

「DREAM」は、LISAの華やかさを期待して再生すると、少し意外に感じるかもしれません。けれど聴き終わったあとには、むしろこの静けさの方が長く残ります。愛が終わった後の記憶を、夢という形で抱え続ける。その切なさを味わうために、もう一度MVを見返したくなる一曲です。

LISAの他のMVもあわせて楽しみたい人へ

「DREAM」で見せた切ない表情とは対照的に、LISAはダンス、ラップ、ファッション性の強いMVでも圧倒的な存在感を放っています。代表曲やソロ作品をまとめて知りたい方は、LISAのMV・楽曲まとめページもあわせてご覧ください。

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この記事を書いた人

洋楽とミュージックビデオを約30年にわたり楽しんできました。ポップ、R&B、ロック、EDMを中心に、時代ごとのヒット曲やアーティストの代表曲、ミュージックビデオの表現を追いかけています。

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