Michael Jackson「Black Or White」は、1991年に発表されたアルバム『Dangerous』期を象徴する楽曲です。
この記事では、曲名の意味、MVに込められた人種を越えるメッセージ、モーフィング演出、そして今あらためて聴き返したくなる理由を紹介します。
長く洋楽を聴いてきた耳には、この曲の強さはヒット曲としての派手さだけでなく、時代の境界線を壊そうとするまっすぐな意思にあるように感じられます。
「Black Or White」が伝えているのは、肌の色を超えたメッセージ
「Black Or White」というタイトルは、直訳すると「黒か白か」という意味です。
ただし、この曲で重要なのは、単に色の違いを並べていることではありません。歌詞全体では、人を肌の色や見た目で分けることへの違和感、そしてその境界を越えていこうとする意志が描かれています。
代表的なフレーズとして知られる「It don’t matter if you’re black or white」は、文法的にはくだけた英語ですが、意味としては「黒人でも白人でも関係ない」というメッセージです。
この一文が強いのは、難しい理屈ではなく、誰にでも分かる言葉で差別や偏見への答えを出しているところです。Michael Jacksonらしいポップの力は、ここにあります。
『Dangerous』の入口として鳴ったロックとダンスの融合
「Black Or White」は、1991年のアルバム『Dangerous』からの先行シングルとして発表されました。
サウンドは、ポップ、ロック、ダンスの要素が混ざった力強い仕上がりです。ギターのリフはロックの勢いを作り、ビートはダンスミュージックとして身体を動かす力を持っています。
プロデュースにはMichael JacksonとBill Bottrellが関わっており、ラップパートも含めて、当時のポップスがロックやヒップホップ的な質感を取り込み始めていた空気が感じられます。
今聴き返すと、単なる明るいヒット曲というより、80年代のスーパースターだったMichael Jacksonが、90年代の音へ踏み出していく転換点として響いてきます。
MVの見どころは、世界をつなぐ映像とモーフィング演出
「Black Or White」のMVは、John Landisが監督を務めています。Landisは「Thriller」のMVでも知られる人物で、Michael Jacksonの映像表現を語るうえで欠かせない存在です。
MVでは、Macaulay Culkinが登場する印象的な導入から始まり、そこから世界各地のダンスや人々の姿へと映像が広がっていきます。
特に記憶に残るのが、終盤のモーフィング演出です。異なる人種や性別の顔が次々と変化していく映像は、当時の技術的な驚きだけでなく、曲のメッセージそのものを視覚化しています。
- 子どもの部屋から世界へ飛び出していく導入
- 民族や文化の違いを越えて踊る場面
- 顔がなめらかに変化していくモーフィング
- ロック、ダンス、社会的メッセージが一体化した構成
MVを見返すたびに、これは単なるプロモーション映像ではなく、ポップスターが世界規模でメッセージを届けようとした作品だったことが伝わってきます。
チャート実績が示す、メッセージソングとしての届き方
「Black Or White」は、Billboard Hot 100で1位を獲得し、7週にわたって首位を記録しました。
この実績が興味深いのは、曲がただキャッチーだっただけでなく、社会的なメッセージを持った楽曲として広く届いたことです。
難しいテーマを扱いながら、サビでは誰もが口ずさめるほど分かりやすい。そこにMichael Jacksonの強さがあります。重いテーマを重く聴かせすぎず、ポップソングとして成立させてしまうバランス感覚は、今聴いてもかなり特別です。
伝記映画『Michael/マイケル』公開前に聴き返したい理由
Michael Jacksonの伝記映画『Michael/マイケル』は、2026年6月12日(金)に日本公開予定です。
映画をきっかけにMichael Jacksonの代表曲を聴き返すなら、「Black Or White」は外せない1曲です。なぜならこの曲には、彼の魅力がいくつも重なっているからです。
- 世界中に届くポップソングとしての分かりやすさ
- ダンスと映像を一体化させる表現力
- 人種や偏見に向き合うメッセージ性
- 90年代の音へ進んでいくサウンドの変化
「Thriller」や「Billie Jean」が80年代のMichael Jacksonを象徴する曲だとすれば、「Black Or White」は90年代の彼が何を見て、何を壊そうとしていたのかを伝える曲です。
今聴くと、派手さの奥にある“まっすぐさ”が残る
「Black Or White」は、イントロのギターや大規模なMVの印象が強いため、派手な曲として記憶されやすい作品です。
けれど、今あらためて聴くと、いちばん残るのは派手さよりも、かなりシンプルなメッセージです。人を分ける境界線に対して、「それは本当に重要なのか」と問いかける。そのまっすぐさが、曲の芯になっています。
洋楽を長く聴いていると、大きなヒット曲ほど、時間が経ったあとに残る部分と薄れる部分が見えてきます。「Black Or White」に残っているのは、時代を動かした映像の記憶と、いまも古びないメッセージの強さです。
軽快なロックポップとして楽しめる一方で、MVまで見ると、Michael Jacksonがポップカルチャーを使って何を伝えようとしていたのかがより鮮明になります。
映画『Michael/マイケル』の日本公開を前に、彼の代表曲を聴き返すなら、この曲はとても良い入口になります。
Michael Jacksonの代表MVをもっと見る
「Black Or White」でMichael Jacksonのメッセージ性や映像表現に惹かれた人は、ほかの代表MVもあわせて見ると魅力がより分かりやすくなります。「Thriller」「Billie Jean」「Beat It」「Smooth Criminal」など、時代を超えて語られる名曲のMVをまとめています。


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