The Weeknd「I Feel It Coming ft. Daft Punk」は、アルバム『Starboy』期を象徴する、甘くレトロなファンクポップです。
Daft Punkとのコラボによって、夜のR&Bだけではない、なめらかで温かい未来感が前面に出ています。
MVでは、恋の予感がまるで宇宙のどこかで起きる短い奇跡のように描かれています。
「I Feel It Coming」は恋が近づいてくる瞬間を歌う曲
タイトルの「I Feel It Coming」は、直訳すると「それが近づいてくるのを感じる」という意味です。
この曲では、激しい恋の駆け引きというよりも、相手が少しずつ心を開いていく気配が描かれています。The Weekndの曲には、孤独、欲望、危うい恋愛を描くものも多いですが、この曲はかなりやわらかい印象です。
歌詞全体では、過去の恋で傷ついた相手に対して「怖がらなくていい」と寄り添うようなムードがあります。押しつける恋ではなく、相手のペースを待つような優しさがあるのが、この曲の大きな魅力です。
Daft Punkが生むレトロで近未来的な音
「I Feel It Coming」の気持ちよさは、Daft Punkらしい洗練されたサウンドにもあります。
強く派手に盛り上げるのではなく、ベース、ギター、シンセ、ボーカルがなめらかに重なり、ずっと心地よいグルーヴが続きます。ディスコやファンクの懐かしさがありながら、音の質感はとてもクールです。
特に印象的なのは、The Weekndの甘いボーカルと、Daft Punkのロボット的な質感がぶつからずに溶け合っているところです。人間的な恋の温度と、近未来的なサウンドが同時にあるので、普通のラブソングよりも少し浮遊感があります。
MVは「恋の予感」をレトロSFとして見せる
MVは、荒れた惑星のような場所を舞台にしたレトロSF風の映像です。
The Weekndがひとりで立つ空間に、女性が現れ、ふたりの距離が近づいていきます。しかし、その時間は永遠ではなく、やがて彼女は石のような姿に戻ってしまいます。
この展開は、曲の甘さとは少し対照的です。音だけ聴くとロマンチックで心地よいのに、MVでは恋の儚さや、触れられそうで触れられない距離感が強調されています。
ただのラブソングMVではなく、短編SF映画のように見えるのがこの作品の面白いところです。
石になる演出が残す切なさ
MVで特に印象的なのは、登場人物が石のようになってしまう演出です。
これは公式にひとつの意味だけで説明されているものではありませんが、映像として見ると、恋が一瞬だけ輝いて消えてしまうような切なさがあります。目の前にいるのに、完全には届かない。近づいたと思った瞬間に、また遠ざかってしまう。
その儚さが、曲の「もうすぐ何かが始まりそう」という予感と重なります。だからこそ「I Feel It Coming」は、明るく甘い曲でありながら、どこか胸に残る余韻があります。
The Weekndの中では珍しいほど優しいラブソング
The Weekndの代表曲には、暗さや危うさ、夜の孤独を感じさせる曲も多くあります。その中で「I Feel It Coming」は、かなり聴きやすく、ロマンチックな入り口になる曲です。
もちろん、ただ爽やかな曲ではありません。MVには終末感があり、映像の中には孤独もあります。それでも、歌声とメロディには相手を安心させようとする温度があります。
初めてThe Weekndを聴く人にも入りやすく、すでにファンの人にとっては、彼の柔らかい表情を感じられる1曲です。
今聴いても古びない理由
「I Feel It Coming」が今聴いても古びないのは、流行を追いすぎた音ではなく、レトロな魅力と未来的な質感をうまく混ぜているからです。
80年代的なムード、ファンクのグルーヴ、Daft Punkの電子音、The Weekndの甘いボーカル。そのどれもが強すぎず、心地よいバランスでまとまっています。
夜のドライブや、少し落ち着いた時間に流すと、この曲のなめらかさがより際立ちます。MVと一緒に見ると、甘い恋の歌でありながら、どこか遠い星の物語を見ているような余韻まで楽しめる作品です。
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「I Feel It Coming」で感じられるレトロで甘い世界観は、The Weekndの魅力の一面です。ほかにも、夜の疾走感が印象的な「Blinding Lights」や、切なさとポップさが重なる「Save Your Tears」など、映像と音楽が強く結びついた名曲がそろっています。The Weekndの人気曲やMVの見どころをまとめて知りたい方は、こちらの記事もぜひチェックしてみてください。


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