Charli XCX ft. Rita Ora「Doing It」は、アルバム『Sucker』期のチャーリーらしい、派手で少しやんちゃなダンスポップです。
MVでは、チャーリーXCXとリタ・オラが逃避行するロードムービー風の世界を、カラフルで過剰なポップ映像として描いています。
この記事では、MVの見どころ、歌詞の意味、そしてこの曲がチャーリーのキャリアの中でどんな位置にあるのかを整理します。
【Charli XCX:チャーリーXCX】
生年月日:1992年8月2日
出身:イギリス・ケンブリッジ
特徴:実験性とポップ性を行き来するシンガーソングライター
音楽性:ダンスポップ、シンセポップ、エレクトロポップを軸に、近年はクラブミュージックやハイパーポップ的な感覚も強く展開
【Rita Ora:リタ・オラ】
生年月日:1990年11月26日
出身:コソボ生まれ、イギリス育ち
特徴:歌手、俳優、ファッションアイコンとしても活動
音楽性:ポップ、ダンス、R&Bを横断する華やかなサウンドが持ち味
「Doing It」は何を歌っている曲か
「Doing It」というタイトルは、直訳すると「それをやっている」「やり遂げている」という意味になります。
ただし、この曲では何か大きな目標を真面目に達成するというより、仲間と一緒に今この瞬間を楽しみきる感覚に近い言葉として響きます。
歌詞全体には、恋愛の細かな駆け引きよりも、勢い、友情、夜遊びの高揚感が前に出ています。Rita Oraが加わったことで、1人のポップスターが突っ走る曲というより、2人で無敵になっていくような空気が強まっています。
洋楽を長く追っていると、この時期のCharli XCXには、王道ポップの形を使いながら、少しだけ危うく、少しだけ反抗的に見せるうまさがあると感じます。「Doing It」は、その魅力がかなり分かりやすく出ている曲です。
MVは“バービー版ロードムービー”のような逃避行
「Doing It」のMVでまず印象に残るのは、砂漠、車、派手な衣装、ガソリンスタンド、電話ボックスといった、ロードムービー的なモチーフです。
映像の軸は、Charli XCXとRita Oraが2人で逃げるように走り回る構成。いわゆる犯罪映画風の緊張感を、本気のサスペンスではなく、かなりポップでコミカルな方向に振り切っています。
特に見どころは、次の3つです。
- ピンクの車や派手な衣装が作る、強烈なキャンディカラーの世界
- 「Thelma & Louise」的な女性2人の逃避行イメージ
- どこかB級映画っぽい過剰さを、あえて楽しんでいる演出
このMVは、ストーリーを細かく考察するというより、“2人ならどこへでも行ける”という無敵感を映像で見せる作品として見ると分かりやすいです。
Rita Oraの客演が曲に足したもの
「Doing It」はもともとCharli XCXのアルバム『Sucker』に収録された楽曲ですが、Rita Oraが加わったバージョンによって、よりデュエット感のあるポップソングになりました。
Rita Oraの声は、Charliの少し尖ったポップ感に対して、よりグラマラスでストレートな華やかさを足しています。2人の声が並ぶことで、曲のテーマも「自分ひとりの勢い」から「仲間と一緒に楽しむ強さ」へ広がっている印象があります。
MVでも、2人が対等な相棒として描かれているのが重要です。単なる客演というより、映像全体のテンションを成立させる存在としてRita Oraが機能しています。
『Sucker』期のCharli XCXらしいポップと反抗心
「Doing It」は、Charli XCXのアルバム『Sucker』期を象徴するような曲です。
この時期のCharliは、「Boom Clap」や「Break The Rules」などで、明るくキャッチーなポップソングを作りながら、その中に少し荒っぽい反抗心を混ぜていました。
「Doing It」も同じで、サウンドはとても聴きやすいダンスポップですが、MVの見せ方はかなり自由です。かわいい、派手、楽しいだけで終わらず、どこか無茶をしている感じが残ります。
今あらためて聴くと、のちにより実験的なポップへ進んでいくCharli XCXの前段階としても面白い曲です。王道の形をしながら、すでに“きれいにまとまりすぎない魅力”がはっきりあります。
英語表現としての「Doing It」の面白さ
「Doing It」は、英語としてはかなりシンプルな言葉です。
だからこそ、文脈によって意味が広がります。何かを成し遂げる、うまくやる、思いきり楽しむ、勢いに乗る。曲の中では、こうしたニュアンスが混ざり合っています。
この曲での「doing it」は、誰かに認められるために頑張るというより、自分たちのノリで突き進むことに近い感覚です。
歌詞を細かく和訳するよりも、「今夜は私たちが主役」という気分を受け取ると、この曲の楽しさがつかみやすくなります。
チャート実績と海外での受け止められ方
「Doing It」は、UKのOfficial Singles Chartで最高8位を記録しています。Charli XCXにとっては、『Sucker』期のポップ路線を広げるうえで重要なシングルのひとつでした。
また、Pitchforkでは「Best New Track」として紹介され、単なる派手なパーティーソングではなく、女性同士の友情や高揚感を持ったポップソングとして評価されています。
チャート上の結果だけでなく、後からCharli XCXの流れを振り返ったときにも、この曲は面白い位置にあります。現在のクラブ寄りで先鋭的なCharliを知ってから聴くと、「Doing It」の明るいポップ感の中にも、彼女らしいズレたセンスが見えてきます。
もう一度MVを見たくなるポイント
「Doing It」のMVは、細かな伏線を読む作品というより、色、衣装、表情、車、砂漠の空気をまとめて浴びるタイプの映像です。
特に、Charli XCXとRita Oraが“逃げる女性2人”として描かれているのに、映像全体は暗くならず、むしろ遊び心と祝祭感で押し切っているところが魅力です。
夜に気分を上げたいとき、ドライブ前に流したいとき、2010年代半ばの派手なポップ感を味わいたいときに合う曲です。
「Doing It」は、完璧に整ったポップソングというより、少し雑で、少し過剰で、だからこそ楽しい曲。MVを見返すと、その時代のチャーリーXCXが持っていた“無敵のふざけ方”まで一緒に残っているように感じます。
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