「Like a Virgin」の意味は?マドンナMVに映る純白と挑発

「Like a Virgin」は、初めての性的経験をそのまま歌った曲ではありません。傷ついた恋のあと、新しい愛によって生まれ直したように感じる心を、挑発的な題名へ変えたラブソングです。
MVでは、ヴェネツィアのゴンドラ、白いウェディングドレス、街を歩くライオンが交差します。
無垢と欲望のどちらかを選ばず、両方を自分のイメージとして使ったことが、この曲をマドンナの転機にしました。

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「Like a Virgin」は“処女の歌”ではなく、恋で生まれ直す歌

タイトルの「like」は「好き」という動詞ではなく、「〜のように」という意味です。直訳すれば「処女のように」ですが、歌詞が描いているのは処女性そのものではありません。

作詞したBilly Steinbergは、苦しい恋愛関係を終えたあとに始まった新しい恋から、この言葉を思いついたと説明しています。傷ついて不完全だった自分が、相手の愛によって「新しくなった」ように感じる。その再生感覚を、初めて恋を知った人のようだと表現したのです。

露骨な題名に聞こえる一方で、中心にあるのは回復と喜びです。性的な意味だけに絞ると、この曲が持つ柔らかさを半分ほど取りこぼしてしまいます。

白いドレスとライオン、相反する記号を同じ画面に置いた

Mary Lambertが監督した公式MVは、ニューヨークとイタリアのヴェネツィアで撮影されています。

白いウェディングドレスは、結婚や純潔を連想させる分かりやすい記号です。しかし、別の場面ではマドンナがゴンドラの上で自由に体を動かし、カメラへ強い視線を向けます。街を歩くライオンや、ライオンの仮面を着けた男性も登場し、画面には理性だけでは抑えられない力や欲望が入り込みます。

ライオンの意味に公式な正解が示されているわけではありません。ただ、純白のドレスと野生動物を並べることで、無垢と本能を対立させる映像として受け取れます。

このMVは清純さを守る物語ではなく、清純という記号まで自分の演出へ取り込む映像です。

無垢を演じても、視線の主導権は渡さない

花嫁姿のマドンナは、男性に選ばれるのを静かに待つ人物としては描かれていません。ゴンドラで踊り、街を歩き、表情や動きによって場面のムードを変えていきます。

白いドレスを着ていても受け身には見えず、むしろ「どのように見られるか」を本人が操作しているように映ります。タイトルに含まれる無垢と挑発の矛盾を、説明ではなく身体の動きで見せているのです。

情報を増やしたから強いのではなく、花嫁、ゴンドラ、ライオンという少数の記号をぶつけたから、一度見ると忘れにくい映像になりました。

有名な“床を転がる花嫁姿”は公式MVではない

「Like a Virgin」と聞いて、白いウェディングドレス姿でステージの床を転がるマドンナを思い浮かべる人も多いでしょう。

あの映像は公式MVではなく、1984年に開催された第1回MTV Video Music Awardsでのライブパフォーマンスです。巨大なウェディングケーキから登場し、「BOY TOY」のベルトを着けて歌ったステージは、公式MVとは別の作品として残されています。

公式MVの主な舞台はヴェネツィアで、ゴンドラやライオンを使った物語性のある映像です。二つを見比べると、同じ花嫁のモチーフを、MVでは幻想的な物語、ステージでは観客を揺さぶる身体表現へ変えていることが分かります。

軽い歌声を、硬いドラムが押し出している

楽曲をプロデュースしたのは、ChicのNile Rodgersです。ギターにRodgers、ベースにBernard Edwards、ドラムにTony Thompsonが参加し、シンセを交えたダンスポップに、生演奏の強い推進力を加えています。

マドンナの歌声は高めで軽やかですが、その下ではドラムが太く鳴り、ベースが途切れず前へ進みます。甘いメロディだけに寄らず、ビートに体が押し出される感覚があるため、傷から立ち直る歌詞が弱々しく聞こえません。

ディスコの流れを残しながら、1980年代の力強いポップへ踏み込んだ音です。無垢を思わせる声と、堂々としたリズムの食い違いも、MVと同じ二重性を作っています。

初の全米1位で、曲だけでなく人物像まで広がった

「Like a Virgin」は、マドンナにとって初めてBillboard Hot 100の1位を獲得したシングルとなり、首位を6週間維持しました。セカンドアルバムのタイトル曲として、彼女をダンスシーンの人気歌手から世界的なポップスターへ押し上げた作品です。

ただ刺激的な言葉を使ったから残ったのではありません。再生を歌うラブソング、体が反応するビート、純白と欲望を重ねた映像が、すべて同じ矛盾を共有しています。

「Like a Virgin」は、マドンナが何者かを一つの答えに固定した曲ではありません。再生を歌うラブソング、身体を動かす硬いビート、純白と欲望を重ねた映像によって、見る人に解釈を委ねながら、その存在を強く焼きつけました。

この曲で鮮明になった無垢と挑発の二面性は、その後の代表曲でも形を変えながら続いていきます。マドンナの時代ごとの変化や、ほかの人気曲もあわせて確認できます。

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