「EYES CLOSED」は直訳すると「目を閉じたまま」。ただしJISOOとZAYNが歌うのは、相手を何も見ずに信じる恋ではなく、お互いの過去をあえて振り返らず、新しい関係を始めようとする二人です。
2025年10月10日に発表されたこのデュエットでは、過去の恋愛を知れば傷つくかもしれないという不安と、それでも今の相手へ踏み出したい気持ちが同時に描かれます。Warner Recordsも、新しい恋へ飛び込む「緊張感」と「振り返らない高揚」を曲の中心として紹介しています。
【3秒でわかる「EYES CLOSED」のポイント】
- タイトルの意味: 「目を閉じたまま」。この曲では、互いの恋愛遍歴や過去を見返さず、今の恋を選ぶという意味へ広がる
- 歌詞の核心: 二人とも恋愛で傷ついた経験があるからこそ、過去を比較するより新しい関係を信じようとしている
- 二人で歌う意味: 一方的な告白ではなく、JISOOとZAYNが互いのためらいに答えながら同じ決断へ近づくデュエット
- MVの舞台: 宇宙船の中で孤立した二人が出会うSF的な映像が、過去から切り離された恋というテーマを強めている
「EYES CLOSED」の意味は“目を閉じる”――見ないのは相手ではなく過去
「eyes closed」は文字通りには「目を閉じて」「目を閉じた状態で」という意味です。
この曲で重要なのは、目を閉じる対象が“今目の前にいる相手”ではないこと。二人が遠ざけようとしているのは、それぞれが以前に誰と付き合い、どんな失敗や傷を抱えてきたのかという恋愛の履歴です。
新しい恋が始まりそうなのに、過去を詳しく知れば比較や嫉妬が生まれるかもしれない。だからすべてを確認してから愛するのではなく、「今の二人」を基準にして前へ進もうとします。
タイトルだけなら無防備な恋にも聞こえますが、実際には逆です。二人とも恋愛の難しさを知っているからこそ、何を見るべきで、何を手放すべきかを選んでいます。
【サビ・重要フレーズの和訳】
原詞:fall in love with our eyes closed
日本語訳:目を閉じたまま、恋に落ちよう
ニュアンス:何も考えず恋をするというより、過去の相手や失敗を持ち出さず、今の関係へ身を委ねようとする言葉
JISOOとZAYNが“告白”より先に、ためらいを交換する
「EYES CLOSED」が普通のラブデュエットと少し違って聞こえるのは、最初から二人が恋を確信しているわけではないからです。
曲の序盤では親密な距離まで近づきながらも、気持ちを急いで言葉にすることには慎重です。JISOOが感情を示し、ZAYNがそれを受け取るように歌うため、一人の主人公が恋心を説明するというより、二人の会話をそのまま音楽にしたような進み方になっています。
その背景にあるのが、二人とも「これまでの経験を考えれば、この恋もうまくいかないかもしれない」と感じていることです。それでも相手への気持ちは止められない。
だからサビで二人の声が重なる瞬間は、単にハーモニーが華やかになる場面ではありません。それまで別々に抱えていた迷いが、「過去ではなく今を選ぼう」という一つの答えへまとまる瞬間として聞こえます。
温かな鍵盤とアコースティックギターが、恋の警戒心をほどいていく
サウンドは大きなビートで押し切るタイプではなく、二人の声が近く感じられる余白を残しています。
Warner Recordsが紹介している通り、軸になるのは温かな鍵盤、アコースティックギター、低く脈打つベースシンセ、そして空間を広く感じさせる音処理です。
特に面白いのは、歌詞では二人がかなり慎重なのに、伴奏には強い緊張感を作る尖った音が少ないことです。ギターや鍵盤の柔らかさが、過去を問い詰めるのではなく「もうそこから離れていい」と促すように響きます。
ZAYNの滑らかに伸びる声と、JISOOの輪郭のはっきりした声も完全に同じ質感ではありません。その違いを消すのではなく、一人ずつ歌う場面では残し、二人で歌う部分では重ねることで、「違う過去を持つ二人が同じ方向へ進む」という歌詞の構造まで音になっています。
宇宙船MVは、過去から切り離された二人を映している
公式MVは宇宙船を舞台にしたSF作品です。JISOOとZAYNは広い船内で孤立した存在として描かれ、無重力を思わせる空間の中で互いへ近づいていきます。NMEも、この映像を二人だけが宇宙船に取り残されたSF的なMVとして紹介しています。
ここで宇宙という舞台が面白いのは、街や家、友人といった“過去を思い出させるもの”がほとんど存在しないことです。
誰と付き合っていたのか、以前どんな生活をしていたのか。そうした情報から物理的に切り離された場所で二人を出会わせることで、歌詞の「過去を見ない」という発想が映像にも重なって見えます。
もちろん、宇宙船そのものが過去との決別を意味すると公式に説明されているわけではありません。ただ、何もない宇宙で二人だけが向き合う構図は、相手の履歴ではなく“今ここにいる人”だけを見る恋として読むことができます。
曲名は「EYES CLOSED」なのに、MVでは二人が互いを見つけなければ物語が始まらない。この逆説も印象的です。過去には目を閉じる。でも、現在の相手から目をそらすわけではない。 そこまで含めると、タイトルの意味が少し違って聞こえてきます。
『AMORTAGE』の恋愛から、“二人で決める恋”へ
JISOOにとって「EYES CLOSED」は、2025年に発表した初のミニアルバム『AMORTAGE』に続くソロ活動期の楽曲です。
『AMORTAGE』では「earthquake」「Your Love」などを通して、恋の高揚や関係のさまざまな段階を描いていました。Warner Recordsは同作を、恋愛の感情的な段階をたどる4曲の作品として説明しています。
そこから「EYES CLOSED」で変わるのは、恋の感情を一人で描くだけではなく、もう一人の声が実際に返事をすることです。
ZAYNは飾りとして後半に加わる客演ではなく、JISOOと同じ立場で曲を進めます。二人とも過去を持ち、二人とも迷い、それでも二人で現在を選ぶ。その対等さがあるから、「目を閉じる」という少し危うい言葉が、一方的な恋の暴走ではなく“二人の合意”として成立しています。
「EYES CLOSED」を聴き直すときは、目を閉じる行為そのものより、何に対して目を閉じ、何には目を開いているのかに注目すると曲の輪郭が変わります。過去は見ない。でも、今そばにいる相手はきちんと見る。その選択をJISOOとZAYNの二つの声で描いたところに、このデュエットの核があります。
JISOOのソロ活動からBLACKPINK本体へ聴き進めるなら、4人それぞれの表現とグループでの違いもあわせて追うと、彼女の声の使われ方がより分かりやすくなります。

