「La Isla Bonita」の意味は?マドンナMVに映る美しい島と二つの顔

「La Isla Bonita」は、スペイン語で「美しい島」という意味です。歌詞に登場するサン・ペドロは、地図上の観光地を細かく紹介する場所ではなく、太陽と音楽に満ちた憧れの土地として描かれています。

MVでは、マドンナが静かに祈る女性と赤いドレスで踊る女性を演じ分け、同じ心の中にある抑制と情熱を映し出します。明るい南国の曲に聴こえながら、その中心にあるのは「ここではない場所へ行きたい」という切実な気持ちです。

目次

「La Isla Bonita」は美しい島への憧れ

曲名の「La Isla Bonita」は、「The Beautiful Island」にあたるスペイン語です。

歌詞の語り手は、夢の中で訪れたサン・ペドロを思い出し、暖かな風や自然、自由に流れる音楽を求めています。スペイン語の言葉がところどころに入ることで、遠い土地への憧れが説明ではなく、音の響きとして伝わってきます。

サン・ペドロがどこにあるのかを明確に限定していない点も、この曲の大切な部分です。特定の島を歌うというより、現実を離れて心を解放できる場所の象徴として受け取れます。

二つのマドンナが、祈りと情熱を分けて見せる

メアリー・ランバートが監督したMVで、マドンナは対照的な二つの姿を演じています。

一方は白い衣装をまとい、ろうそくや宗教画のある部屋から外を見つめる女性。もう一方は赤いドレスを着て、身体を大きく動かしながら踊る女性です。

二人を別々の登場人物として見ることもできますが、外へ出たい気持ちを抑えている自分と、その衝動に従う自分の二面性としても読めます。窓辺で動かない女性がいるからこそ、赤いドレスの回転や腕の動きが、閉じ込められていた感情のように見えてきます。

赤いドレスが、窓辺の静けさを破る

MV前半では、室内の静かな時間と、通りで始まる音楽や踊りが交互に映されます。窓は外の祝祭を眺めるための場所であると同時に、女性と街を隔てる境界にもなっています。

そこへ強い赤色のドレスが現れることで、画面の温度が一気に変わります。白い衣装が祈りや慎みを連想させるのに対し、赤い衣装は視線、身体、欲望を隠しません。

派手なセットを積み上げるのではなく、衣装の色と人物の動きだけで心の揺れを見せているところが、このMVの強さです。

フラメンコギターと打楽器が、遠い場所を近づける

サウンドでは、フラメンコを思わせるギター、ラテン系の打楽器、マラカスの響きが使われています。一方で、曲の骨格には1980年代らしいポップのリズムと整ったメロディがあり、異なる要素が自然に組み合わされています。

ギターは南国らしさを加えるだけの飾りではありません。短く反復される音が、語り手の頭から離れない島の記憶のように響きます。

サビでは歌声とコーラスが広がり、閉じられていた室内から街へ出ていくような開放感が生まれます。ゆったりしたテンポなのに体が先に揺れるのは、メロディの滑らかさと打楽器の細かな動きが重なっているためです。

『True Blue』期に広がったラテンへの視線

「La Isla Bonita」は、1986年のアルバム『True Blue』に収録され、1987年に同作最後のシングルとして発売されました。

『True Blue』では、それまでのダンスポップを軸にしながら、クラシック、ドゥーワップ、ラテンなど異なる音楽の要素が取り入れられています。その中でも「La Isla Bonita」は、マドンナがラテン音楽やスペイン語の響きを本格的にポップへ持ち込んだ初期の重要曲です。

マドンナはその後も、楽曲やステージでラテン文化から影響を受けた表現を繰り返していきます。この曲は一度だけの異色作ではなく、後のキャリアへ伸びていく入口だったと見ることができます。

祝祭の曲なのに、中心にあるのは孤独

MVの終盤では、街の人々が音楽に合わせて踊り、赤いドレスのマドンナもその輪へ向かいます。しかし、白い衣装の女性は室内に残り、外の様子を見つめています。

すべてが解放されて終わるのではなく、外へ出られる自分と、まだ窓の内側にいる自分が同時に残る。そのため「La Isla Bonita」は、単純な南国のラブソングよりも少し複雑に響きます。

この曲が描いている島は、詳しく説明されないからこそ消えません。情報を減らすほど、聴き手の中にそれぞれの「美しい島」が立ち上がります。

ラテンの情熱を取り入れた「La Isla Bonita」だけでなく、ダンスポップ、バラード、社会的なメッセージを持つ作品まで、マドンナは時代ごとに異なる表情を見せてきました。ほかの代表曲やMVもあわせて見ると、その変化と一貫した表現力がより分かりやすくなります。

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