チャーリー・プース「Cheating on You」MV解説|衝撃のタイトルに隠された、別れの後の“ずるい未練”と90sグルーヴ

チャーリー・プース(Charlie Puth)が2019年にリリースした「Cheating on You」は、一見不穏に思えるタイトルとは裏腹に、失恋した誰もが共感してしまう“ずるくて切ない未練”を軽快に歌い上げたポップ・ナンバーです。本記事では、ストリーミングやYouTubeを中心に息の長い人気を誇る本作の歌詞の意味や、名匠コリン・ティリーがニューヨークの街並みを舞台に切り取った洗練されたMVの見どころを詳しく解説します。

項目内容
曲名Cheating on You
アーティストCharlie Puth(チャーリー・プース)
リリース日2019年10月1日
収録アルバムシングル(配信限定)
主な実績YouTube再生回数1億回突破、アジア各国のストリーミングチャートでロングヒット
目次

タイトル「Cheating on You」の逆説的な意味と歌詞の深層

「浮気」という言葉の裏に隠された、皮肉なほどの純愛

タイトルの「Cheating on You」は、直訳すると「君を裏切っている」「君に対して浮気をしている」という意味になります。しかし、歌詞の冒頭でチャーリーは「I know I said, “Goodbye, ” but baby, I didn’t mean it(サヨナラと言ったのは分かってる、でも本心じゃなかったんだ)」と呟きます。
二人はすでに破局しており、彼は新しい恋を探すために他の女性とデートを重ねている状態です。それなのに、誰と付き合っても心の中に元恋人の面影がチラついてしまい、「新しい誰かと抱き合っていると、まるで今でも君を裏切っているような罪悪感に駆られる」という、逆説的でどこか身勝手な未練の心理が描かれています。

日常会話でも使える「Didn’t mean it」のニュアンス

作中で印象的に使われる「I didn’t mean it」は、日常会話やSNS、海外ドラマでも頻出する定番の重要フレーズです。「そんなつもりじゃなかった」「本気で言ったわけじゃないんだ」と言い訳をしたいときや、誤解を解きたいときに使われます。例えば、口論の最中にキつい言葉を言ってしまって後悔したとき、「I’m sorry, I didn’t mean it.(ごめん、本心じゃなかったんだ)」と伝えることで、相手への謝罪のニュアンスをストレートに表現することができます。

監督コリン・ティリーがニューヨークで映し出した、躍動する孤独

街の喧騒と、チャーリーの軽快なステップが織りなす映像美

ミュージックビデオ(MV)を手掛けたのは、ケンドリック・ラマーやジャスティン・ビーバーなど、ヒップホップ/ポップスシーンの第一線で数々の歴史的映像を生み出してきた巨匠コリン・ティリー(Colin Tilley)。彼は、ニューヨークのアイコニックな街並みやビル群をロケーションに選び、ダイナミックなカメラワークでチャーリーの姿を追います。

MVの中のチャーリーは、トレードマークである美しいハイトーンボイスを響かせながら、無邪気に、そしてどこか切なげにステップを踏み、街を歩き回ります。ビビッドな色使いと、映画のワンシーンのように美しいライティングは、ニューヨークという大都会の華やかさと、彼の心の中にある「誰といても満たされない孤独」のコントラストを極めてスタイリッシュに可視化しています。特殊なギミックに頼らず、アーティスト自身の身体表現と表情の変化だけで、楽曲の持つビターポップな世界観を完璧に引き立てています。

2010年代末の流行の中で際立つ、洗練された90sファンク・グルーヴ

2010年代末のグローバルチャートを思い返すと、当時はダークな重低音が響くトラップ・ミュージックや、無機質でミニマルなエレクトロ・ポップが完全にメインストリームを占拠していました。その喧騒の中で、チャーリーがこの曲で鳴らした、どこかニュージャックスウィングや90年代R&Bの薫りを感じさせる小気味よい16ビートは、驚くほど新鮮に耳に飛び込んできたのを鮮明に覚えています。

長年洋楽の変遷を追い続けてきたリスナーほど、彼がエフェクトによる誤魔化しを排除し、緻密に重ねられた洗練されたコーラスワークと、滑らかにうねるベースラインだけでいかに上質なポップスを仕立て上げているかに気付かされるはずです。失恋の重い未練をあえてカラッとした極上のファンク・グルーヴに乗せて放つその手腕。何年経っても色褪せない確かなポップソングの芯が、この3分間の中にはっきりと息づいています。

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この曲の持つ本当の心地よさと切ない余韻に浸るなら、少し肌寒くなってきた秋の夕暮れ時や、夜の街を歩く通学・通勤のイヤホンで聴くのがおすすめです。チャーリーのシルキーなハイトーンと小気味よいバウンスが、センチメンタルな日常を洗練された物語へと塗り替え、張り詰めた心をそっと解きほぐしてくれるはずです。

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この記事を書いた人

洋楽とミュージックビデオを約30年にわたり楽しんできました。ポップ、R&B、ロック、EDMを中心に、時代ごとのヒット曲やアーティストの代表曲、ミュージックビデオの表現を追いかけています。

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