「bad idea right?」は、直訳すると「悪い考えだよね?」という意味です。
オリヴィア・ロドリゴはこの曲で、元恋人に会いに行くべきではないと分かっていながら、結局その方向へ進んでしまう心の動きを、皮肉っぽく、かなり軽やかに歌っています。
MVでは、友人たちとの夜から抜け出して元恋人のもとへ向かう流れが描かれ、理性よりも衝動が勝つ瞬間がコミカルに見えてきます。
「bad idea right?」は、止めてほしいようで止めてほしくない言葉
タイトルの「bad idea right?」は、日本語にすると「これって悪い考えだよね?」に近い表現です。
ただし、ここでの「right?」は、単に相手の同意を求めるだけではありません。語り手はもう答えを分かっているのに、それでも誰かに背中を押してほしいようにも聞こえます。
つまりこの曲の面白さは、「やめた方がいい」と分かっている状態から始まることです。迷っているようで、実際にはもうかなり行く気になっている。そのズレが、歌詞全体のユーモアと危うさを作っています。
元恋人に会いに行くまでのMVが、衝動をそのまま映している
MVは、オリヴィアが友人たちと過ごす夜から始まります。そこへ元恋人から連絡が入り、彼女は「会いに行くのは悪い考えだよね?」と分かっていながら、結局その方向へ進んでいきます。
監督はPetra Collins。オリヴィア・ロドリゴのMVではおなじみの映像作家で、この曲でも青春映画のような騒がしさ、少し荒れた夜のムード、友人たちとの距離感を使いながら、恋愛の判断ミスを大げさなドラマではなく、勢いのある一晩として見せています。
Tate McRae、Iris Apatow、Madison Huが出演していることも、このMVのポイントです。友人たちの存在があるからこそ、オリヴィアがそこから抜け出して元恋人へ向かう選択が、より「分かってるのに止まれない」ものとして見えてきます。
会話のような歌い方が、頭の中の言い訳を速くする
この曲は、きれいに歌い上げるタイプのバラードではありません。話すようなフレーズ、勢いのある言葉の詰め込み方、ギターのざらついた感触が前に出ていて、語り手の頭の中で言い訳がどんどん増えていくように響きます。
サビに向かうほど、冷静な説明ではなく「でも行きたい」という気持ちが勝っていく作りです。音の作りに注目すると、この曲は恋愛の失敗を悲劇としてではなく、ほとんどコメディの速度で走らせているように感じられます。
制作時のコメントでは、元恋人と関係を持つことをめぐる冗談のような発想から曲が始まったことも語られています。その軽さが、曲全体のテンポや歌い方にもつながっていて、深刻になりすぎないのに、感情の危なさはしっかり残ります。
『vampire』の重さとは違う、『GUTS』期の遊び心
「bad idea right?」は、アルバム『GUTS』期の中でも、「vampire」とはかなり違う表情を見せる曲です。
「vampire」が傷つけられた側の怒りや痛みをドラマチックに描く曲だとすれば、「bad idea right?」は、自分でも間違っていると分かる選択を、笑いながら踏み抜いてしまう曲です。
この違いによって、『GUTS』のオリヴィア・ロドリゴがただ怒っているだけではなく、自分の矛盾や情けなさまでポップに変えられるアーティストだと分かります。完璧な主人公ではなく、判断を間違える人として歌うからこそ、曲に生々しいスピードが出ています。
友だちの声より、夜の勢いが勝ってしまう
MVで面白いのは、友人たちがいる場所が「正気の側」として見えることです。彼女たちは止める側にいるように見えますが、オリヴィアはそこから抜け出してしまう。
この構図は、歌詞の中の「分かっている自分」と「それでも会いに行きたい自分」の分裂にも重なります。友だちの存在は、語り手の理性を外側から見せる装置としても受け取れます。
だからこそ、このMVは単なる元恋人に会いに行く話ではありません。画面の中で移動しているのは距離だけではなく、判断が崩れていく方向そのものです。
間違いを分かっているから、この曲は軽くならない
「bad idea right?」は、明るく騒がしい曲に聞こえますが、歌詞の中心にあるのはかなり危うい判断です。元恋人に会うことが良くないと分かっているのに、自分の中で理由を作ってしまう。その過程を、オリヴィア・ロドリゴは重く語らず、むしろスピードとユーモアで見せています。
今あらためて聴くと、この曲の鋭さは「悪い考え」を否定するところではなく、悪いと分かっている考えほど魅力的に見えてしまう瞬間を、そのままポップソングにしているところにあります。
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