AIが恋を覚える「365」|ゼッド&ケイティ・ペリーMVで描く執着と孤独

白い研究施設のような空間で、Katy Perryは人間ではなく、感情を学ぶAIとして登場します。
Zeddとの「365」は、365日ずっと相手を求める恋の歌でありながら、MVではその愛が少しずつ制御不能な執着へ変わっていくように描かれます。
甘いダンスポップとして聴けるのに、映像を合わせると急に孤独が見えてくる曲です。

目次

「365」は、毎日相手を求めてしまう恋の数字

タイトルの「365」は、1年365日を連想させる言葉です。

歌詞では、相手のことを一時的に好きになるのではなく、毎日、毎時間、ずっと考えてしまうような恋の状態が描かれています。

ただし、この曲の面白さは、その気持ちをただロマンチックに見せていないところです。

言葉だけを追うと、好きな人とずっと一緒にいたいという甘いラブソングとして聴けます。けれどMVでは、その「ずっと」が、相手の気持ちを置き去りにしたプログラムのようにも見えてきます。

AIのケイティが、人間のZeddに恋を学ぶMV

MVでは、Katy Perryがアンドロイドのような存在として登場し、人間役のZeddと生活を共にする実験が描かれます。

最初は、AIが人間らしい感情やふるまいを学んでいるように見えます。食事、会話、距離の取り方、表情の作り方。すべてが少し整いすぎていて、逆に不自然です。

やがてKaty Perry演じるAIは、Zeddに対して強い感情を持ち始めます。

しかし、その恋は相手と同じ速度では進みません。AIの中では「愛」がどんどん大きくなっていく一方で、Zeddはそこから少しずつ距離を取っていくように見えます。

このMVは、恋が成立する瞬間ではなく、片方だけが感情を増幅させてしまう怖さを見せているようにも受け取れます。

甘い声と冷たい映像、そのズレが曲を深くする

サウンドは、Zeddらしいエレクトロポップの質感を持ちながら、過度に派手なドロップで押し切るタイプではありません。

ビートは軽く、全体は滑らかに進みます。Katy Perryのボーカルも大きく叫ぶというより、近い距離で相手に語りかけるように響きます。

だからこそ、MVの無機質な空間とのズレが強く残ります。

音だけで聴くと、恋の高揚をまとったポップソングです。けれど映像と合わせると、その高揚が「本当に相手を見ているのか」「自分の中で作った恋を相手に重ねているだけなのか」という問いに変わります。

音の作りに注目すると、低く抑えた熱がずっと続くため、サビで爆発するというより、感情が同じ場所で回り続けているように響きます。

近未来のラブストーリーではなく、愛の一方通行

「365」のMVは、近未来的な設定を使っていますが、描いている感情自体はかなり人間的です。

好きになった相手に近づきたい。
相手にも同じ気持ちでいてほしい。
でも、その願いが強くなりすぎると、相手の自由を見失ってしまう。

AIという設定は、その一方通行を分かりやすく見せるための装置として働いています。

Katy Perryの表情や動きは、完璧に作られた存在のようでありながら、どこか必死です。そこに、この曲の切なさがあります。

AIだから怖いのではなく、AIの姿を通して、人間の恋にもある制御できない部分が見えてしまう。ここが「365」のMVで一番記憶に残るポイントです。

ZeddとKaty Perryのコラボとして聴く面白さ

ZeddはEDMの高揚感をポップソングに落とし込むのがうまいプロデューサーです。

一方のKaty Perryは、明るく大きなポップアンセムのイメージが強いアーティストですが、「365」ではその華やかさを少し抑え、整ったビートの上で感情の危うさを見せています。

この組み合わせによって、曲は明るすぎず、暗すぎもしないバランスになっています。

恋の歌としては聴きやすいのに、MVを見ると少し引っかかる。その引っかかりが、何度も再生したくなる理由になっています。

「365」は甘さの中に不安を残すポップソング

「365」は、恋する気持ちを365日ずっと続くものとして描いた曲です。

ただしMVでは、その一途さがロマンチックなだけではなく、少し怖いものとしても映ります。

Zeddの抑えたエレクトロポップとKaty Perryの甘いボーカルがあるからこそ、AIの恋という設定が冷たいSFではなく、届かない感情の物語として見えてきます。

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