「Supernatural」は、偶然や理屈では説明できないほど強く引き合う、二人の結びつきを表した曲です。
NewJeansはその感覚を、90年代のテレビドラマを思わせるMV、UFOが現れる非日常的な物語、軽快なニュージャックスウィングで描きました。
日本デビュー曲でありながら、一つの国向けに自分たちを作り替えず、多言語で歌うNewJeansらしさをそのまま広げています。
「Supernatural」は、説明できない恋の確信
「Supernatural」は日本語では「超自然的な」「自然の法則では説明できない」といった意味を持つ言葉です。
ただし、歌詞で描かれるのは幽霊や魔法そのものではありません。離れていた二人が再び出会い、心拍や直感を頼りに、その関係の意味を確かめようとする姿が歌われています。
歌詞の語り手は「意味を知りたい」と考えながらも、すでに愛が近くにあることを感じています。頭では答えを探しているのに、身体は先に確信している。そのズレが、この曲における「Supernatural」の正体です。
日本デビューでも、日本語だけには閉じなかった
「Supernatural」は、2024年6月に発表されたNewJeansの日本デビューシングルの表題曲です。シングルには「Right Now」と、それぞれのインストゥルメンタル版も収録されました。
歌詞では日本語だけでなく、韓国語と英語も自然に行き来します。日本デビューだからといって、曲全体を日本語へ置き換える構成にはしていません。
この選択は、進出先に合わせてNewJeansの輪郭を変えるのではなく、もともと持っていた多言語的なポップ感覚を、そのまま日本へ持ち込む姿勢としても受け取れます。
2009年の曲を、90年代の身体感覚へ戻す
サウンドの核になっているのは、跳ねるドラムと太いベースが絡むニュージャックスウィングです。伴奏には勢いがありますが、メンバーの歌声は強く張り上げず、滑らかにビートの上を移動します。
さらに「Supernatural」には、日本人シンガーManamiとPharrell Williamsによる2009年の楽曲「Back of My Mind」のアドリブやブリッジ部分を取り入れた要素があります。
元曲のフレーズを飾りとして貼り付けるのではなく、シンセとスウィングするリズムの中へ溶かし直している点が重要です。懐かしさを再現するのではなく、身体が覚えているリズムとして現在へ呼び戻しています。
90年代TVドラマの形式が、恋とUFOを結びつける
MVのPart.1は、オープニングクレジットや次回予告を含む、90年代のテレビシリーズの一話のような構成です。
物語の中心にいるのは、ある少年を思うヘイン。日常の恋愛ドラマに見える場面へ、UFOや夢の中のような空間が入り込み、現実と非現実の境界が少しずつ曖昧になります。
ここでのUFOは、曲名を説明するための単純な答えではありません。好きになった理由を言葉にできない感覚と、理解できない現象を同じ画面に置くことで、「Supernatural」という言葉を映像として体験させています。
軽いステップほど、ビートの強さが見えてくる
パフォーマンスシーンでは、メンバーとダンサーたちが軽快なステップを重ねます。動きを大きく見せる振付よりも、足運びや肩の揺れをリズムへ細かく合わせることで、ニュージャックスウィング特有の跳ね方を引き出しています。
スタンドマイクを使ったダンスブレイクでは、テレビ番組のステージを思わせる見せ方と、自由に踊るパーティーの感覚が重なります。
歌声を前へ押し出しすぎないため、リズムの動きがよく見えるのもこの曲の特徴です。音数を増やして高揚させるのではなく、ビートに体が押し出される感覚を丁寧に積み重ねています。
答えを出さないPart.1が、曲名を残す
MVは一つの物語を最後まで説明せず、次の展開を予告する形で終わります。そのため、少年との関係やUFOの意味には、まだ空白が残されています。
この終わり方は、歌詞の構造とも重なります。語り手は関係の意味を探していますが、すべてを理解する前に「これは確かなものだ」と感じているからです。
謎を解くことよりも、説明できないのに信じられる感覚を残す。答えを出さないことが、曲名を最も強く伝えています。
「Supernatural」を日本デビュー期の一曲として捉えると、「Right Now」「How Sweet」「Bubble Gum」など、同時期の楽曲とのリズムや映像表現の違いも見えやすくなります。NewJeansの代表曲をまとめてたどることで、軽やかな聴き心地の奥にある音楽性をさらに深く楽しめます。

