翌朝の混乱で魅せる「Last Friday Night (T.G.I.F.)」|ケイティ・ペリーMV解説

パーティーの翌朝、部屋は散らかり、本人の記憶は少し曖昧。

Katy Perry「Last Friday Night (T.G.I.F.)」は、週末の解放感をただ明るく歌うだけでなく、MVでは“Kathy Beth Terry”というキャラクターを使って、はしゃぎすぎた夜をコメディとして見せる曲です。

今見返すと、ポップソングの軽さをMVの物語性でさらに押し広げた、『Teenage Dream』期らしい作りです。

目次

T.G.I.F.の意味は「Thank God It’s Friday」

曲名にある「T.G.I.F.」は、一般的に「Thank God It’s Friday」の略として使われる表現です。

日本語にすると、「やっと金曜日だ」「金曜でよかった」といったニュアンスに近く、仕事や学校が終わって週末に入るときの開放感を表します。

この曲では、その言葉が単なる金曜日の喜びではなく、「昨日の夜、何が起きたのか思い出せないほど遊んでしまった」という、少し危ういテンションにつながっています。

明るいタイトルに見えて、実は“楽しかった夜の後始末”まで含んでいるところが、この曲の面白い部分です。

パーティーの翌朝から始まる、MVのうまさ

MVの中心にいるのは、Katy Perry本人というより、彼女が演じるKathy Beth Terryというキャラクターです。

映像は、パーティー後の混乱した部屋から始まり、そこから前夜に何が起きたのかをたどるように進んでいきます。

この構成がうまいのは、曲の歌詞にある「昨日の夜の記憶が断片的に残っている感じ」を、そのまま映像の流れにしているところです。

普通にパーティーを見せるのではなく、翌朝の散らかった結果から入ることで、視聴者も一緒に“何があったのか”を見ていく形になります。

まじめな女の子が、画面の中心へ押し出される

Kathy Beth Terryは、最初から派手なパーティーガールとして描かれるわけではありません。

むしろ、少し地味で不器用な雰囲気のキャラクターとして登場し、周囲の人たちに巻き込まれながら、だんだん画面の中心に押し出されていきます。

Rebecca Black、Darren Criss、Kevin McHale、Hanson、Kenny G、Debbie Gibson、Corey Feldmanなど、MVには多くのゲストも登場します。

その豪華さは単なる顔見せではなく、Kathyの一夜がどんどん大ごとになっていく感じを強めています。

このMVは、パーティーの楽しさを描いているというより、「昨日まで目立たなかった人が、一晩だけ別人のように扱われる」おかしさを見せているようにも受け取れます。

明るいビートなのに、歌詞は少し危うい

「Last Friday Night (T.G.I.F.)」のサウンドは、かなり明るく、リズムも弾んでいます。

しかし歌詞で描かれる出来事は、ただ楽しいだけではありません。

記憶が曖昧だったり、写真が残っていたり、予想外の出来事が次々に出てきたりと、週末の高揚感と、その後に来る焦りが同時にあります。

だからこそ、この曲は“楽しいパーティーソング”でありながら、少しだけ冷や汗のあるポップソングとしても響きます。

明るい音に乗っているのに、歌詞の中ではかなり無茶な夜が語られている。そのズレが、再生ボタンを押し直したくなる感じにつながっています。

サックスの音色が、週末のテンションを一段上げる

サウンド面では、弾むビートとポップなメロディに加えて、サックスの音色が耳に残ります。

このサックスは、曲全体を大人っぽくするというより、少し大げさで、パーティーのテンションをさらに派手に見せる役割を持っています。

Kenny GがMVに登場することも、このサックス要素を映像側でコミカルに強調しています。

音の作りに注目すると、この曲はただテンポで押すのではなく、ビート、メロディ、サックスの派手さを重ねて、“週末の浮かれ方”を音として作っています。

『Teenage Dream』期のKaty Perryだから成立した過剰さ

「Last Friday Night (T.G.I.F.)」は、『Teenage Dream』期のKaty Perryが持っていたカラフルで大きなポップ感をよく表しています。

同じ時期の「California Gurls」や「Firework」が、それぞれ夏の解放感や自己肯定を強く打ち出していたのに対して、この曲はもっとコミカルです。

真面目に感動させるのではなく、キャラクター、衣装、ゲスト出演、パーティーの混乱を全部使って、ポップスターとしての遊び心を見せています。

その過剰さが雑に見えないのは、曲のテーマが「はしゃぎすぎた金曜日の夜」だからです。

派手なMVほど説得力が出る。そんな珍しいタイプの1曲です。

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この記事を書いた人

洋楽とミュージックビデオを約30年にわたり楽しんできました。ポップ、R&B、ロック、EDMを中心に、時代ごとのヒット曲やアーティストの代表曲、ミュージックビデオの表現を追いかけています。

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