バスケットコート、派手なチーム演出、そして少し大げさなコメディ。
Katy Perry feat. Nicki Minaj「Swish Swish」は、挑発的な歌詞をそのまま深刻に見せるのではなく、MVでは“試合”として笑いに変えている曲です。
強気な一言を、重たい怒りではなく、跳ねるビートと茶目っ気で打ち返しているところにこの曲の面白さがあります。
【Katy Perry:ケイティ・ペリー】
位置づけ:アルバム『Witness』期の楽曲で、従来のポップな明るさに皮肉や挑発を重ねた時期の1曲
音楽性:ハウス寄りのビートに、Nicki Minajのラップを加えたクラブ感のあるポップソング
聴くポイント:軽快なリズムの裏で、相手に飲み込まれない強気な態度が前に出ている
「Swish Swish」は、相手の攻撃をかわして決める言葉
「Swish」は、バスケットボールでシュートがきれいに決まる音や動きを連想させる言葉です。
この曲では、その響きがただのスポーツ用語ではなく、相手の言葉や視線を受け流しながら、自分のペースで得点していく態度として使われています。
歌詞には挑発的なフレーズもありますが、全体としては誰かに傷つけられた側の弱さよりも、「それでも私は崩れない」という姿勢が前に出ています。
バスケMVにしたことで、怒りがショーになる
MVの舞台は、バスケットボールの試合です。
Katy Perryはチームの一員として登場し、試合の流れそのものが曲の持つ対決感と重なっていきます。真剣勝負のようでいて、映像はかなりコミカルです。
転ぶ、空回りする、周囲が妙に大げさに反応する。そうした演出によって、曲の中の「敵に勝つ」という構図が、復讐劇ではなくポップなショーとして見えるようになっています。
強い言葉を笑える画面に乗せることで、怒りがそのまま怒りで終わらず、観客に見せるパフォーマンスへ変わっているのがこのMVのうまいところです。
Nicki Minajのラップが、試合の流れを引き締める
曲の中盤で入るNicki Minajのパートは、MVの中でも空気を変える役割を持っています。
Katy Perryのパートがリズムに乗って挑発を繰り返すのに対し、Nicki Minajのラップは言葉の密度を上げ、曲全体に鋭さを足しています。
軽いノリだけでは終わらせず、相手に向けた視線を一段はっきりさせるパートです。バスケットボールの試合で言えば、流れを変えるタイムアウト後の一手のようにも聞こえます。
ハウス調のビートが、皮肉を踊れる形にしている
「Swish Swish」は、重いバラードのように感情を吐き出す曲ではありません。
反復するビートとクラブ寄りのリズムが、歌詞の皮肉や強気な言葉を、踊れる形に変えています。低くうねるようなリズムの上にKaty Perryの声が乗ることで、感情を爆発させるよりも、余裕を見せながら相手をかわしていく印象が強くなります。
音の作りに注目すると、この曲は怒っているというより、怒りを自分のリズムに変換している曲として聴こえます。
『Witness』期のケイティ・ペリーらしい、笑いと挑発の混ぜ方
「Swish Swish」は、Katy Perryのアルバム『Witness』期の楽曲です。
この時期のKaty Perryは、従来のカラフルなポップ感を残しながら、皮肉、自己主張、社会的な視線などをより前に出していました。その中で「Swish Swish」は、難しいメッセージを語るというより、周囲からの攻撃や雑音に対して、ポップスターらしく大きな画面で返す曲です。
MVのバスケ設定も、その意味でとても分かりやすい見せ方です。勝つか負けるかの構図を作りながら、最終的にはシリアスな対立よりも、ケイティらしい派手さとユーモアが残ります。
今見返すと、過剰さまで含めて2017年のポップ感がある
このMVは、出演者、スポーツ演出、コメディ、ダンス、ラップパートをかなり詰め込んだ作品です。
すっきり整理された映像というより、あえて情報量を増やし、インターネットで切り取られやすい場面を次々と出していく作りに見えます。
今見返すと、その過剰さまで含めて、2017年のポップMVらしさが出ています。曲の挑発を正面から暗く描かず、バスケの試合に変えてしまう軽さが、「Swish Swish」をただの攻撃的な曲ではなく、笑いながら打ち返すポップソングにしています。

