パワーパフ ガールズに変身する「New Jeans」|NewJeans MVが告げる新章

「New Jeans」は、NewJeansが“新しい私たち”を宣言する曲です。2nd EP『Get Up』の1曲目に置かれ、作品全体へ入っていくためのプロローグを担っています。
MVでは、5人が『パワーパフ ガールズ』を思わせるキャラクターへ変身。自分たちを紹介する歌を、空を飛び出すアニメーションへと置き換えています。
グループ名と曲名が重なるからこそ、単なる自己紹介ではなく、次の章へ着替える瞬間の歌として響きます。

目次

グループ名を曲名にした、再出発の宣言

冒頭に置かれた「Look, it’s a new me」という言葉が、この曲の答えを先に示しています。

歌詞で繰り返されるのは、新しい髪型やTシャツといった身近な変化です。しかし、本当に見せたいのは服装そのものではありません。外見を変えた勢いを借りて、これまでとは違う自分として一歩を踏み出す姿が歌われています。

新しさを大げさに説明せず、短い言葉を何度も重ねる。その軽さが、NewJeansらしい自然な自己紹介になっています。

パワーパフ ガールズとの共通点は、かわいさだけではない

MVは、2023年に25周年を迎えた『パワーパフ ガールズ』との公式コラボレーションです。

原作で少女たちが誕生する場面に使われる材料は、MVではストロベリーチョコレートやミルクチョコレートへ置き換えられます。メンバーたちは植物と話す、空を飛ぶといった能力を想像し、その会話から曲が始まります。

両者を結びつけているのは、見た目のかわいらしさだけではありません。飾りすぎない少女たちが、自分らしい姿のまま力を持つこと。このMVは、その共通点を変身シーンによって分かりやすく見せています。

実写からアニメへ、変身がそのまま曲の答えになる

実写のメンバーがスーパーパワーについて話していた画面は、やがてアニメーションへ切り替わります。

5人がキャラクターとなって空を飛ぶ姿は、歌詞にある“新しい自分”を説明するための比喩としても受け取れます。変身したから別人になるのではなく、もともと持っていた個性が、能力として画面に現れたように見えるのです。

後半には、ファンダム名のBunniesを連想させるBunnyも登場します。ファンとのつながりまでアニメの中へ取り込み、NewJeansの活動そのものをひとつの物語に変えています。

2ステップの軽さから、強いキックへ

サウンドの軸にあるのは、2000年前後のUKガラージを思わせる、細かく跳ねる2ステップのリズムです。

声は強く張り上げるのではなく、短いフレーズをリズムに乗せるように配置されています。ところが曲が進むと、足元を押すようなキックが強まり、ハープを思わせる細かな音も重なります。

軽く始まった曲が途中から力を増していくため、MVでキャラクターたちが能力に目覚める流れとも自然につながります。かわいい映像の後ろで、ビートは思った以上にしっかりと前へ進んでいます。

遊び歌のような反復が、聴き手を仲間にする

共同作詞者のErika de Casierは、この曲の反復を、1990年代から2000年代のポップに見られたコール&レスポンスや、校庭で歌う遊び歌のようなものとして説明しています。

髪型、服、グループ名を順番に並べる部分は、複雑なメロディを聴かせるというより、声を合わせて参加できる形です。最後に“あなたと私”へ視点が広がることで、自己紹介だった歌が、聴き手を輪の中へ招く歌へ変わります。

歌詞にある新鮮さや清潔感を示す言葉には、OutKastの「So Fresh, So Clean」を思わせる2000年代ポップ/R&Bの記憶も重なります。新しい曲でありながら、どこか懐かしく聴こえる理由のひとつです。

短いプロローグだから、次の曲を待ちたくなる

「New Jeans」は、大きなクライマックスを作る曲ではありません。反復される言葉、切り替わるリズム、アニメへの変身によって、これから何かが始まることだけを鮮やかに知らせます。

情報を増やすのではなく、変身する瞬間だけを見せる。その短さが、『Get Up』の次の曲へ進みたくなる引力を作っています。

「New Jeans」で示された軽やかな変化が、ほかの代表曲では恋心や友情、迷いとしてどう広がっているのか。NewJeansの楽曲を続けて聴くと、同じ自然体の歌声にも曲ごとの違いが見えてきます。

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