Maroon 5「Misery」は、2010年にリリースされた『Hands All Over』期のシングルです。
タイトルの「Misery」は「苦しみ」「惨めさ」を意味しますが、曲調は沈み込むバラードではなく、軽快で跳ねるポップロック。
MVでは、恋愛の痛みをAdam Levineが実際に振り回されるコミカルな映像として見せているのが大きな特徴です。
「Misery」はどんな曲?苦しさを踊れるグルーヴに変えた1曲
「Misery」は、Maroon 5の3rdアルバム『Hands All Over』からのシングルとして発表された楽曲です。
ソングライティングにはAdam Levine、Jesse Carmichael、Sam Farrarが関わり、プロデュースはRobert John “Mutt” Langeが担当しています。Maroon 5らしいポップロックの軽さに、ファンク寄りのリズム感と、Adam Levineの高い声が重なることで、恋愛の苦しさをただ重く描かない曲になっています。
ここが、この曲の面白いところです。
歌っている内容はかなり切ないのに、サウンドは明るくてノリがいい。だからこそ、ただの失恋ソングではなく、「苦しいのに体が動いてしまう恋愛ソング」として耳に残ります。
タイトルの「Misery」は、恋がうまくいかない苦しさを表している
「Misery」は、日本語にすると「苦しみ」「惨めさ」「つらい状態」といった意味があります。
この曲で描かれているのは、相手を求めているのに、関係がうまく噛み合わない状態です。相手の反応がないことに苦しみ、まだ気持ちが残っているからこそ離れられない。その焦りや執着が、曲全体のテンションを作っています。
歌詞の中に出てくる “Why won’t you answer me?” という問いかけも象徴的です。
単に「寂しい」というより、相手の沈黙に振り回されて、自分の気持ちをコントロールできなくなっている感覚があります。タイトルの「Misery」は、失恋の悲しみというより、恋愛の主導権を失ったときの苦しさに近い言葉として響きます。
MVは、恋の痛みをそのまま身体の痛みに変えている
「Misery」のMVでまず印象に残るのは、Adam Levineが女性に何度も攻撃されるようなコミカルで過激な演出です。
監督はJoseph Kahn。映像では、Anne Vyalitsynaが登場し、Adam Levineのキャラクターを振り回すような場面が続きます。殴る、投げる、車にはねられるようなアクション表現まであり、普通なら深刻になりそうな場面を、どこか漫画的なテンポで見せているのが特徴です。
このMVは、歌詞の「恋に苦しめられている感覚」を、かなり分かりやすく映像化しています。
心が痛い。
でも、相手から離れられない。
その苦しさを、実際に身体がボロボロになる映像へ置き換えているようにも見えます。
恋愛のつらさをそのまま泣かせる方向に持っていかず、少し笑える痛みに変えているところが、Maroon 5らしいポップさです。
軽快なのに暗い、このズレが曲の中毒性になっている
「Misery」は、音だけ聴くとかなり明るい曲です。
跳ねるリズム、キーボードの軽さ、ギターの小気味よさ、そしてAdam Levineのファルセット。どれもポップで聴きやすく、ドライブや作業中にも流しやすい雰囲気があります。
でも、歌詞の中身はかなり苦い。
この明るさと暗さのズレが、曲の中毒性を生んでいます。楽しい曲として聴けるのに、よく聴くと恋愛の不安や焦りがにじんでくる。Maroon 5は、こうした「軽快なサウンドに面倒な恋愛感情を乗せる」表現がとても上手いバンドです。
「Misery」は、その魅力がかなり分かりやすく出ている1曲です。
『Hands All Over』期のMaroon 5を知る入口としても聴きやすい
「Misery」は、Maroon 5が『Songs About Jane』や『It Won’t Be Soon Before Long』で築いたポップロック路線を、さらに洗練させた時期の楽曲として聴くこともできます。
『Hands All Over』は、バンドのロック感、ポップなメロディ、ファンクやソウルの要素がまとまったアルバムです。その中で「Misery」は、リード曲らしく、Maroon 5の分かりやすい魅力を前面に出しています。
- すぐ覚えられるサビ
- Adam Levineの高音ボーカル
- 恋愛の面倒くささを描く歌詞
- スタイリッシュだけど少しユーモラスなMV
この4つがそろっているので、Maroon 5を代表曲だけで知っている人にも入りやすい曲です。
今聴くなら、MVのコミカルさと歌詞の切なさを一緒に楽しみたい
「Misery」は、ただ明るい曲でも、ただ切ない曲でもありません。
恋愛に振り回される苦しさを歌いながら、音は軽やかで、MVはかなりコミカル。だからこそ、聴いたあとに重くなりすぎず、それでも「この気持ち、分かる」と思わせる力があります。
MVを見るときは、Adam Levineが受ける派手な痛みに注目しつつ、それが歌詞の中の精神的な痛みとどう重なっているのかを見てみると、曲の印象が少し変わります。
軽く聴けるのに、実はかなり苦い。
そのバランスこそが、「Misery」が今聴いてもMaroon 5らしく響く理由です。

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