限界を越える決意が燃える「Whatever It Takes」|イマジン・ドラゴンズMV解説

水に沈む部屋で歌い、最後には炎の中で演奏する。
Imagine Dragons「Whatever It Takes」のMVは、曲名の「目的のためなら必要なことは何でもやる」という決意を、かなり身体的な映像に置き換えた作品です。
ただの前向きな応援歌ではなく、自分を壊して作り直すような高揚と危うさが同時に鳴っています。

目次

「Whatever It Takes」は、限界突破を選ぶ言葉

「Whatever It Takes」は、日本語にすると「何としてでも」「必要なことは何でも」という意味です。

この曲で歌われるのは、恋愛相手に尽くすような意味ではなく、自分の目標や理想に向かって、壊されても進むという強い意志です。歌詞には、凡庸で終わることへの恐れや、周囲から見られることへの緊張もにじんでいます。

だからこそ、サビの力強さは単純な勝利宣言ではありません。自分を追い込みながら、それでも前に出ることを選ぶ曲として聴こえます。

水から炎へ、MVは決意を身体で見せる

MVでは、部屋の中が水に満たされ、バンドがその中で演奏する場面が大きな軸になっています。水中で歌う姿は、自由に動けない圧力や、息苦しさの中でも止まらない意志として受け取れます。

後半では、画面の質感が水から炎へと変わっていきます。冷たい圧迫から、熱を帯びた破壊へ。曲が進むほど、歌詞の「何でもやる」という言葉が、きれいな成功ではなく、負荷を引き受ける覚悟として見えてきます。

このMVでは、成功への意志がきれいな上昇ではなく、窒息と燃焼を通るものとして描かれています。

詰め込まれるヴァース、開けるサビ

サウンド面では、ヴァースの言葉数の多さがまず耳に残ります。ラップに近い細かいリズムで言葉を押し出し、サビで一気に大きなフックへ広げる構成です。

この圧縮と解放の差が、「追い込まれている感覚」と「突き抜ける感覚」を同時に作っています。海外レビューでは、スポーツのハイライト映像を思わせる高揚感として触れられたこともあり、確かにこの曲のビートとコーラスは、勝負前の集中やアドレナリンと相性がいい作りです。

音の作りに注目すると、明るく励ますというより、体温を上げて走らせるタイプのロックとして鳴っています。

『Evolve』期のImagine Dragonsらしい、鍛え上げたロック

「Whatever It Takes」は、2017年のアルバム『Evolve』に収録された楽曲です。同じアルバムには「Believer」や「Thunder」もあり、Imagine Dragonsが巨大なコーラス、強いビート、短いフレーズの反復をよりポップに研ぎ澄ませていた時期の曲として聴けます。

「Believer」が痛みを力に変える曲だとすれば、「Whatever It Takes」はその力を使って、さらに上へ行こうとする曲です。どちらも自己変革をテーマにしていますが、この曲ではよりスピード感と競技的な緊張が前に出ています。

前向きなのに、少し危うく聞こえる

歌詞の中心には、上を目指す意志があります。ただし、その言葉の裏には「普通で終わりたくない」「見た目や評価に縛られたくない」という不安も感じられます。

この二面性があるから、曲はただの応援ソングに収まりません。自分を奮い立たせる言葉でありながら、同時に、自分を追い込みすぎる危うさも含んでいるように響きます。

MVで水中や炎の演出が使われていることも、その危うさを強めています。勝つための曲というより、勝とうとする人間の体にかかる負荷まで見せる曲です。

初めて聴くなら、サビ前の圧縮に注目

初めて聴くなら、サビだけでなく、そこへ向かう直前の言葉の詰まり方に注目したいところです。ヴァースで情報量を増やし、プレコーラスでさらに身体をせかしてから、サビで大きく放つ。その流れが、この曲の推進力を作っています。

映像と音を合わせて見ると、「Whatever It Takes」という言葉は、気合いのフレーズではなく、水圧や炎を通っても演奏を止めない身体の動きとして立ち上がります。

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