Kygo(カイゴ)とMiguel(ミゲル)の「Remind Me to Forget」は、忘れたい恋ほど、何度も思い出してしまうという矛盾を描いたダンスナンバーです。
2018年3月16日にシングルとしてリリースされ、Kygoらしい明るいトロピカルハウスに、MiguelのR&B的な痛みが重なっています。
MVでは、崩れていく部屋、ピアノを弾くKygo、歌うMiguel、そしてバレリーナの身体表現が、心の中で壊れていく記憶を映しているように見えます。
【Kygo:カイゴ】
生年月日:1991年9月11日
出身:ノルウェー・ベルゲン育ち
特徴:トロピカルハウスを世界的に広めたDJ/音楽プロデューサー
音楽性:ピアノ由来のメロディと開放感のあるダンスサウンドを組み合わせる作風
【Miguel:ミゲル】
生年月日:1985年10月23日
出身:アメリカ・カリフォルニア州
特徴:艶のある歌声で知られるR&Bシンガー
音楽性:R&B、ソウル、ポップ、ロックの要素を横断する表現力が魅力
崩れていく部屋が、忘れられない記憶を映している
「Remind Me to Forget」のMVでまず印象に残るのは、きれいに整った空間が少しずつ壊れていくような映像です。
監督はColin Tilley。MVにはMiguel、ピアノを弾くKygo、そしてバレリーナが登場し、それぞれが別々の部屋にいるような構成で描かれます。
この映像は、恋愛の終わりを説明的なストーリーで見せるというより、心の中でまだ整理できていない記憶が、部屋そのものを揺らしているように見せているのが面白いところです。
部屋が崩れる。
身体が踊る。
でも、誰も完全にはその場所から抜け出せていない。
この閉じ込められた感じが、曲名の「忘れたいのに忘れられない」という感情とよく重なっています。
「Remind Me to Forget」の意味は、忘れることすら思い出してしまう矛盾
タイトルの「Remind Me to Forget」は、直訳すると「忘れることを思い出させて」という意味になります。
普通に考えると、少し不思議な言葉です。
なぜなら、「忘れる」は自然に起こるものなのに、この曲ではそれすら誰かに思い出させてもらわないとできない状態になっているからです。
つまり、この曲で描かれているのは、ただの失恋ではありません。
- もう忘れたい
- でも、まだ相手の存在が残っている
- 前に進みたいのに、記憶が身体に戻ってくる
- 痛みを消したいのに、その痛みで相手を思い出してしまう
この矛盾があるから、「Remind Me to Forget」は切ないだけでなく、どこか中毒性のある曲になっています。
歌詞を細かく読まなくても、タイトルだけで感情のねじれが伝わる。
そこがこの曲の強い入口です。
Kygoの明るい音が、失恋を重くしすぎない
「Remind Me to Forget」は失恋や未練を扱っていますが、サウンドは暗く沈み込みません。
Kygoらしい明るいシンセ、軽やかなビート、開放感のあるメロディがあるため、曲全体にはダンスミュージックとしての聴きやすさがあります。
ただし、その明るさは「完全に吹っ切れた明るさ」ではありません。
むしろ、明るい音の中に痛みが残っているからこそ、失恋のリアルさが出ています。
この曲の魅力は、次のようなバランスにあります。
- 音は爽やか
- 歌声は切ない
- ビートは踊れる
- 感情はまだ整理されていない
泣き崩れるような失恋ソングではなく、痛みを抱えたまま少し前に進もうとする曲。
だから、夜のドライブや、気持ちを切り替えたい帰り道にも合います。
Miguelの声が、恋の痛みを大人っぽくしている
この曲でMiguelの存在はかなり大きいです。
Kygoのトロピカルハウスだけであれば、もっと爽やかなポップソングとして聴こえたかもしれません。
でも、Miguelの少しかすれた艶のある声が入ることで、曲に大人っぽい苦さが加わっています。
Miguelのボーカルは、感情を大きく叫ぶというより、まだ心の奥に残っている熱をにじませるような歌い方です。
そのため、「もう終わった恋」と言い切っている人の歌ではなく、忘れようとしている途中の人の歌として響きます。
この声の温度があるから、MVのバレリーナの動きも、ただ美しいダンスではなく、記憶から逃げられない身体の反応のように見えてきます。
『Kids in Love』期のKygoらしい、甘さと痛みの同居
「Remind Me to Forget」は、Kygoの『Kids in Love』期の流れで聴くとより分かりやすい曲です。
この時期のKygoは、単に南国感のあるトロピカルハウスを作るだけでなく、恋愛の記憶、若さ、喪失感、前に進む感覚をポップにまとめる曲が目立ちます。
「Remind Me to Forget」もその延長にあります。
明るいのに、苦い。
踊れるのに、胸に残る。
ポップなのに、感情は意外と深い。
このバランスは、Kygoの代表的な魅力のひとつです。
EDMにあまり詳しくない人でも聴きやすく、R&Bが好きな人にもMiguelの声で引っかかる余地があります。
このMVでいちばん残るのは、言葉よりも身体の記憶
「Remind Me to Forget」のMVは、歌詞の内容をそのまま説明する映像ではありません。
むしろ、言葉にできない感情を、部屋の崩壊やダンスで見せています。
忘れたい恋は、頭の中だけに残るわけではありません。
ふとした場所、音、動き、空気感で、身体が先に思い出してしまうことがあります。
このMVのバレリーナの動きには、その感覚がよく出ています。
忘れたいのに、まだ引き寄せられる。
離れたいのに、身体が覚えている。
だからこの曲は、ただ「失恋を忘れたい」と歌っているだけではありません。
忘れることの難しさそのものを、音と映像で見せている曲です。
少し前を向きたい夜に聴きたくなる1曲
「Remind Me to Forget」は、完全に泣きたい夜よりも、少しだけ前を向きたい夜に合う曲です。
過去の恋を思い出してしまう。
でも、暗い曲だけに沈みたくはない。
気持ちはまだ揺れているけれど、どこかで次に進みたい。
そんなときに、この曲の軽やかなビートとMiguelの切ない歌声がちょうどよく響きます。
MVと一緒に見ると、崩れていく部屋は、終わった恋の記憶そのもののようにも見えてきます。
そしてその中で踊る姿は、痛みを消すためではなく、痛みを抱えたまま動き出すための表現のようにも感じられます。
「Remind Me to Forget」は、忘れることの難しさを、重くなりすぎずに聴かせてくれるKygoらしい失恋ソングです。
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