JISOO(ジス)の「ADDICTED」は、直訳すると「中毒になった」「夢中になって抜け出せない」という意味を持ち、理屈では危険だと分かっていながら相手に深くのめり込んでいく恋の衝動と、JISOOとファンが惹かれ合う関係性の2つを重ねたダンスポップナンバーです。
2026年10月30日に個人レーベルのBLISSOOおよびWarner Recordsから配信された本作は、9月公開の「CLICK」に続く自身初のソロ・フルアルバムからの第2弾先行公開シングルにあたります。穏やかなトーンで自然な相性を歌った前作から一転し、雷鳴が響くダークな音像と水中パフォーマンスを取り入れたMVによって、ソロアーティストとしての濃密な表現を打ち出しています。
【「ADDICTED」の重要ポイント】
- タイトルの意味:英語の“addicted(中毒になった・病みつきになった)”。相手の声や視線、触れ合いによって理性のブレーキが外れ、抜け出せなくなる状態を指す
- 公式が明かした二重のテーマ:恋愛の高揚感だけでなく、「名前や視線、共に過ごした瞬間が長く心に残り、幸せをくれる場所へ戻っていく期待感」としてJISOOとファンの関係性にも重なる
- 制作陣とパフォーマンス:JISOO自身も作詞・編曲に名を連ね、『AMORTAGE』を手がけたThe WavysやR&B界の名匠The-Dreamらが参加。MVでは振付師リジョン(Lee Jung)参加のコレオグラフィと水中パフォーマンスを披露している
「ADDICTED」が歌う“中毒”の正体|なぜ危険だと分かっているのに抜け出せないのか
英語の“be addicted to 〜”は、本来アルコールや刺激物などに「依存している」状態を表す言葉ですが、日常会話やラブソングでは「頭から離れないほど相手に夢中になっている」という強い執着と高揚を表す比喩として使われます。全編英語詞で綴られた本作では、ただ相手を好きになるだけでなく、触れ合うたびに自分のルールや理性が崩れていく感覚が段階的に描かれています。
ヴァース(Aメロ)では、キスや指先の接触を「一撃(hit)」や「トリップ(trip)」になぞらえ、相手の熱量によって自分が決めていたルールをすべて破ってしまう姿が歌われます。続くプレコーラスでは、相手が自分の名前を呼ぶ声に波のように飲み込まれ、「理由は理解できないのに、あなたに身を委ねてしまう」と告白する流れです。
【サビの核となるフレーズとニュアンス】
原詞:I love the rush, so dangerous / I’m hooked
日本語訳:この急激な高揚感がたまらない、すごく危険なのに/もう完全に心を掴まれている
ニュアンス:“rush”は血液が駆け巡るような一瞬のスリルと快感、“hooked”は釣り針に引っかかって逃れられない状態を指す口語表現です。危険だと自覚しながらも、そのスリル自体を求めてしまう心理が凝縮されています。
第2ヴァースに入ると、別れの時間を嫌い、相手の瞳を見つめて催眠状態(hypnotized)に陥るなど、夜の時間の中でさらにコントロールを失っていく様子が描かれます。頭で考えるよりも先に身体と感覚が相手へ引き寄せられてしまう構造が、「ADDICTED」というタイトルに説得力を与えています。
このように「理性では止めようとしても身体が先に反応してしまう恋の衝撃」は、2025年のミニアルバム『AMORTAGE』のリード曲「earthquake」とも深く通じるテーマです。恋に落ちた瞬間の心拍や動揺を“地震”になぞらえた歌詞と、嘘発見器を使ったMVの仕掛けは以下の記事で詳しく解説しています。

恋愛だけではない?BLISSOOが明かした「JISOOとファン」を重ねるもう一つの意味
「ADDICTED」を単なるスリリングな恋愛ソングにとどめていないのが、所属レーベルのBLISSOOが明かした楽曲の背景です。公式の説明によれば、本作の核心にあるのは「名前や一瞬の視線、共に過ごした時間がいつまでも心の中に残り、誰かに強く惹きつけられる高揚感」であり、その感覚はJISOOとファンの関係性にも共鳴していると位置づけられています。
この視点を持って歌詞を聴き直すと、プレコーラスに繰り返し登場する「あなたが私の名前を呼ぶと夢中になる」という一節や、別れを惜しんで「あなたを手放したくない」と歌うフレーズは、ステージ上で歓声を浴びるアーティストと客席のファンの姿にも重なって聞こえます。ロマンティックな衝動から始まった歌が、「自分を幸せにしてくれる人・場所・感情のもとへ再び戻っていく期待感」という共有された感覚へと開かれていく設計です。
実は、同じ1stフルアルバムの第1弾先行シングルとして2026年9月に公開された「CLICK」でも、恋愛の相性とファンとの絆を重ねるアプローチが採られていました。「CLICK」における“カチッとはまる”英語表現の意味や、MVに登場するロボットのクマ(CLICK Bear)がファンを象徴している背景については、以下の記事から続けて確認できます。

雷鳴のイントロと水中パフォーマンス|The Wavys・The-Dream・リジョンが作ったダークな変身
サウンド面で最も特徴的なのは、ヴァースの重厚なビルドアップと、サビで一気に音数を絞るアンチドロップ(anti-drop)構造のコントラストです。イントロの雷鳴(稲妻)の音からパンチのあるビートが走り出し、ヴァースではダンスフロア向きの緊張感と広い音域を行き来するボーカルが展開されますが、サビに入った瞬間にトラックは極限までミニマルに変化します。
サビでは大きなメロディを歌い上げるのではなく、ささやくように同じフレーズを反復するフックが前面に置かれています。爆発的な盛り上がりをあえて外し、抜け出せないループ感を音そのもので表現する構成です。クレジットには、JISOO自身がAustin Nicole Wolfe(OSTON)やTiina Vainikainenとともに作詞・編曲に名を連ねているほか、『AMORTAGE』の全曲を手がけたプロデューサーデュオのThe Wavys(Jack Brady、Jordan Roman)、Sol Was、さらにビヨンセやリアーナの名曲で知られるR&B界の重鎮The-Dream(Terius Gesteelde-Diamant)が参加しています。
音源と同時公開されたMVも、このダークで濃密なサウンドと連動しています。雷と稲妻が走る暗い空間や、水に濡れたスタイリング、そして水中を舞うような水中パフォーマンス(underwater performance)が取り入れられ、前作「CLICK」の童話的な遊園地とは対照的な世界観が構築されました。コレオグラフィにはBLACKPINKの関連作品でも知られる振付師のリジョン(Lee Jung)が参加しており、抗えない引力を視覚化するしなやかで鋭いダンスも見どころです。
「CLICK」から「ADDICTED」へ|初のソロ・フルアルバムに向けたJISOOの現在地
JISOOは2023年のソロデビュー作『ME』(リード曲「FLOWER」)で控えめな余白と花のモチーフを提示したのち、2024年に個人レーベルのBLISSOOを設立し、2025年にはミニアルバム『AMORTAGE』やZAYNとのデュエット曲「EYES CLOSED」(米Billboard Hot 100で72位を記録)を発表してきました。今回の1stフルアルバムに向けては、異なるムードを持つ楽曲を順番に先行公開することで、アルバム全体の輪郭を少しずつ明かす手法を採っています。
第1弾の「CLICK」が落ち着いた中音域のボーカルで「自然と惹かれ合う最初の接点」を描いたのに対し、第2弾の「ADDICTED」はダークな音像と水中パフォーマンスで「一度触れたら抜け出せない深い没入」を描き出しました。2つの先行曲を並べることで、来たるフルアルバムが単一のカラーにとどまらない振り幅を備えていることが見えてきます。
ソロデビュー曲「FLOWER」から『AMORTAGE』、ZAYNとの「EYES CLOSED」、そして2026年の先行シングルへと至るJISOOのソロ代表曲と音楽性の変化をまとめて辿りたい方は、以下のアーティストまとめページもあわせてご覧ください。

また、ソロでダークなダンスポップや映画的な映像表現を追求するJISOOの姿を知ったあとにBLACKPINKの楽曲へ戻ると、4人の声が重なるグループ曲での彼女の役割がより鮮明に聴こえてきます。グループの代表曲や他メンバーのソロ活動との違いは、以下のまとめ記事から比較できます。

参考・出典
- Just Jared “‘Addicted’ Lyrics: Jisoo Reveals Meaning of New Song, Drops Music Video”
- allkpop “BLACKPINK’s Jisoo makes a lethal transformation with an underwater performance in ‘ADDICTED’ MV”
- 毎日経済(MK) “BLACKPINKのジス、「ADDICTED」リリース…水中パフォーマンスで「魅惑的な変身」”
- LyricsBull “ADDICTED Lyrics & Song Credits – JISOO”

